投資用マンションやアパートをサブリース会社に一括で貸し出している場合、「売りたいのに買い手がつかない」「解約したいのに解約できない」と悩むオーナーは少なくありません。サブリース契約は入居者との間にサブリース会社が入る特殊な賃貸借契約のため、通常の物件とは売却や解約の進め方が異なります。この記事では、サブリース物件がなぜ「売れない」と言われるのか、契約を維持したまま売却する方法、解約したい場合の注意点、そして買取という出口戦略までわかりやすく解説します。
なぜサブリース物件は「売れない」と言われるのか
サブリース契約では、オーナーが物件をサブリース会社に貸し、サブリース会社がさらに入居者へ転貸する形をとります。最高裁判所の判例では、サブリース契約もオーナーとサブリース会社の間の賃貸借契約にあたり、借地借家法の適用を受けるとされています。そのため、借主であるサブリース会社の立場は法律で保護されており、オーナー側の都合だけで自由に契約を終了させることはできません。買主から見ても、契約内容をそのまま引き継ぐ必要があることや、想定していた家賃保証額が将来的に見直される可能性があることから、購入を敬遠されやすい傾向があります。
契約を維持したまま売却する「オーナーチェンジ」
サブリース契約を解約しなくても、物件を売却すること自体は可能です。民法では、不動産が譲渡された場合、賃貸人としての契約上の地位は新しい所有者に引き継がれ、入居者やサブリース会社の承諾は不要とされています。これを「オーナーチェンジ」と呼び、サブリース契約や入居者との賃貸借契約をそのまま維持した状態で買主に引き継ぐ売却方法です。
オーナーチェンジで売却する際のポイント
- 入居者との賃貸借契約やサブリース契約の内容はそのまま買主に引き継がれる
- 契約書上の貸主(オーナー)名義変更の手続きが必要になる
- 買主がサブリース契約の内容(家賃保証額や契約期間など)を理解し、納得したうえで購入する必要がある
契約を解約してから売却したい場合の注意点
家賃保証額は将来的に見直される可能性がある
契約時に「30年家賃保証」といった説明を受けていても、保証されているのは契約期間そのものであり、家賃の金額まで固定されているわけではありません。最高裁判所は平成15年10月21日の判決で、サブリース契約にも借地借家法第32条の賃料増減額請求権が適用されるとしており、市場家賃の下落などを理由にサブリース会社側から保証家賃の減額を求められる場合があります。
オーナー側から解約するには正当事由が必要
逆に、オーナー側からサブリース契約を解約したい場合は、借地借家法第28条に基づく「正当事由」が必要です。正当事由の有無は、建物の老朽化の程度や、オーナー・サブリース会社双方が建物を必要とする事情、立退料の申し出などを総合的に考慮して判断されます。正当事由が認められにくいケースでは、立退料の支払いと引き換えに解約交渉を進めることもあります。
出口戦略の一つとして「買取」も検討する
仲介による売却は、契約内容を理解したうえで購入してくれる買主を探す必要があるため、時間がかかりやすいのが実情です。一方、買取であれば不動産会社が直接の買主となるため、サブリース契約や入居者との関係を含めて引き継いでもらいやすく、比較的短期間で現金化しやすいというメリットがあります。2020年12月には、サブリース業者に契約前の重要事項説明などを義務づける「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(通称:サブリース新法)が施行され、契約内容の透明化も進んでいます。まずは自分の物件がどのような契約内容になっているかを確認したうえで、仲介・買取それぞれの選択肢を比較検討することをおすすめします。
まとめ
サブリース物件は、オーナーチェンジによって契約を維持したまま売却する方法と、正当事由を整えて契約を解約してから売却する方法があります。どちらが向いているかは契約内容や物件の状況によって異なるため、サブリース物件の取り扱いに慣れた不動産会社に相談し、買取も含めた複数の選択肢を比較してみることが大切です。