別荘売却の注意点|3,000万円控除が使えない税金・管理費滞納・買取

別荘売却で3,000万円控除が使えない税金と管理費滞納の精算、買取の選び方を解説する記事のイメージ

親から相続した別荘、若いころに買ったリゾートマンション。使う機会が減ったのに、管理費や固定資産税の請求だけは毎年届く——そんな状態で「別荘を売却したい」と考え始めた方は多いはずです。

結論から言うと、別荘の売却ではマイホームの3,000万円特別控除が原則使えないこと、そしてリゾートマンションの滞納管理費は買主にも請求できることの2つを先に押さえる必要があります。税金と滞納の見通しを立ててから売り出すかどうかで、手残りも売れる速さも変わります。

仲介で買い手が見つからない場合でも、買取や国の引き取り制度など出口はあります。この記事では、売れにくい理由から税金、相続した別荘の手続き、持ち続けるコスト、売り方の選び方までを順番に解説します。

この記事を読むとわかること

  • 別荘・リゾート物件が一般の住宅より売れにくい理由
  • 管理費・修繕積立金の滞納が売却に与える影響と精算の考え方
  • 3,000万円控除が使えない別荘の譲渡所得税の計算方法
  • 相続した別荘で必要な登記・期限と使える特例・使えない特例
  • 仲介・買取・国庫帰属制度の違いと選び方

この記事の結論

  1. 別荘など主として趣味・娯楽・保養のために所有する家屋は、マイホームの3,000万円特別控除の対象外です。利益には長期なら20.315%、短期なら39.63%の税金がかかります。
  2. リゾートマンションの滞納管理費・修繕積立金は、区分所有法により買主(特定承継人)にも請求できます。滞納額を確定させ、決済時に精算する段取りが必要です。
  3. 相続した別荘は、相続を知った日から3年以内の相続登記が義務です。相続放棄は3か月以内で、別荘だけを放棄することはできません。
  4. 別荘の敷地には固定資産税の住宅用地特例(課税標準が最大6分の1)が適用されません。持ち続けるほど税負担が重くなりやすい物件です。
  5. 仲介で売れないときは買取、建物を解体できるなら相続土地国庫帰属制度(手数料1筆14,000円、負担金は原則20万円)も選択肢になります。

別荘が売れにくい理由|リゾート物件・別荘地ならではの事情

結論

別荘は「住むための家」ではないため、買い手の層が狭く、購入後の維持費まで含めて厳しく比べられるのが売れにくさの根本です。

一般の住宅は、通勤・通学の便利さや住宅ローンの返済額で比べられ、地域に住みたい人がいる限り買い手が現れます。別荘やリゾートマンションは、生活に必要な家ではなく「なくても困らない家」です。

そのため、景気や趣味の変化で需要が大きく動き、同じエリアに売り物件が複数並ぶと価格の比較で負けやすくなります。売れにくさの理由を分解しておくと、売り方の打ち手も見えてきます。

買い手が「セカンドハウスを探す人」に限られる

別荘の買い手は、余暇用の家を探している人、移住先を探している人、宿泊施設などに使いたい事業者などに限られます。地元で家を探している人の多くは、日常の買い物や通勤に不便な別荘地を選びません。

また、別荘地は売り出し時期が季節に左右されやすく、雪の多い地域では冬の内覧が難しいこともあります。買い手が少ないぶん、価格を下げても反応がすぐには出ない点を前提に、売却期間を長めに見ておく必要があります。

買った後の維持費まで見られる

別荘の買い手は、購入価格だけでなく「毎年いくら出ていくか」を必ず計算します。管理費・修繕積立金、固定資産税、水道などの基本料金、往復の交通費は、使わない年でもかかるからです。

本体価格が安くても、管理費が高いリゾートマンションは敬遠されがちです。売り出す前に、年間の維持費の内訳を一覧にして示せるようにしておくと、買い手の判断が早くなります。

比べられる点 一般の住宅 別荘・リゾート物件
主な買い手 その地域に住みたい人 余暇用・移住用の家を探す人など少数
税金の特例(売主) マイホームの3,000万円控除あり 原則なし
固定資産税(敷地) 住宅用地特例で課税標準が最大6分の1 住宅用地特例の対象外
買い手が気にする費用 ローン返済額 管理費・修繕積立金・交通費

※税金の扱いは本文の各セクションで根拠とあわせて解説しています。

建物の傷みと、別荘地特有のインフラ事情

使う頻度が低い建物は、湿気や凍結、虫や小動物の侵入で傷みが進みやすくなります。長く閉め切っていた別荘は、内覧前に通水と換気をして、雨漏りや給排水の不具合がないかを確認しておきましょう。

別荘地によっては、道路や水道を管理会社が運営していることがあります。その場合、買い手は「誰が道路や水道を維持し、費用はいくらか」を確認します。管理会社との契約書や料金表を手元に用意しておくと、説明がスムーズです。

POINT

売れにくさは「情報不足」でさらに強まる

  • 年間の維持費、管理の仕組み、建物の状態が分からない物件は、買い手が判断を先送りする
  • 売主が先に情報をそろえるだけで、比較の土俵に乗りやすくなる

管理費・修繕積立金の滞納は売却にどう響くか

結論

リゾートマンションの滞納分は買主にも請求できるため、滞納を残したままでは買い手がつきにくいのが実情です。滞納額を確定させ、決済時に精算する段取りを組みます。

使っていない別荘ほど、管理費の支払いが後回しになりがちです。しかし滞納は、売却の場面で「買主が引き継ぐかもしれない負担」として必ず問題になります。物件の種類によって法律上の扱いが違うので、まず自分の別荘がどちらに当たるかを確認してください。

リゾートマンションの滞納は買主にも請求できる

リゾートマンションのような分譲マンションには、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)が適用されます。同法8条は、管理費などの債権を債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定めています。

用語の補足:特定承継人

売買などで、ある人から特定の権利を引き継いだ人のことです。マンションの売買では、部屋を買った買主がこれに当たります。

つまり、売主が滞納したまま売ると、管理組合は買主にも滞納分を請求できます。さらに同法7条は、管理費などの債権について区分所有権に先取特権を認めています。買い手や仲介会社がこの点を気にするのは当然で、滞納の有無は売却の早い段階で確認されます。

別荘地の管理費は管理契約の内容を確認する

一戸建ての別荘地で、管理会社に管理費を払っている場合は、区分所有法ではなく管理会社との契約が基準になります。買主に契約が引き継がれるか、滞納分をどう扱うかは契約の条項によって異なります。

まずは管理会社に連絡し、現在の未払い額と、売却時に必要な手続きを書面で確認しましょう。名義変更の手続きや承継の条件が決まっている別荘地もあるため、確認が早いほど売り出しの準備が進みます。

滞納があるときの精算の段取り

滞納があっても売却は可能です。売主が滞納額を確定させたうえで、決済時に受け取る売却代金から管理組合や管理会社へ支払う形で精算する方法があります。売却代金で精算できるかどうかは、売買価格と滞納額のバランスで決まります。

  1. 滞納額を確認管理組合・管理会社に書面で照会
  2. 売買条件に反映精算方法を契約書に明記
  3. 決済時に精算売却代金から滞納分を支払う
  4. 放置すると買主に請求が及び、契約がまとまりにくい
図:滞納管理費がある別荘を売るときの流れ
具体例

月2万5,000円の管理費等を18か月滞納したリゾートマンションを600万円で売る場合

  • 滞納額:2万5,000円 × 18か月 = 45万円
  • → 決済時に売却代金600万円から45万円を管理組合に支払い、手元に残るのは555万円(仲介手数料・税金などは別途)

滞納が続くほど精算額が増え、手残りが減ります。売ると決めたら、まず滞納の拡大を止めることが先決です。

温泉付きの別荘は温泉の権利と利用料も確認する

温泉付きの別荘では、管理費とは別に温泉の利用料や権利の扱いが売買条件に関わります。一般的に、別荘地の温泉は管理会社や温泉組合からの給湯契約で使っていることが多く、契約の名義変更や加入金の扱い、未払いの利用料を買主に説明できるようにしておく必要があります。

自分の土地に源泉がある場合は、温泉の権利が土地の登記とは別に管理されている点に注意が必要です。大分地方裁判所の競売の説明資料では、温泉採取権の名義は「温泉台帳」で管理され、所有権移転登記とは別に、保健所への名義の変更届出が必要とされています(大分地方裁判所「温泉権に関する物件明細書の記載について」)。

  • 温泉の給湯契約書(契約相手・名義・月額の利用料)
  • 名義変更の可否と手数料、加入金・権利金の扱い
  • 温泉利用料の未払いがないか
  • 源泉が自分の土地にある場合は、温泉台帳の名義と所管の保健所
この項目のまとめ
  • リゾートマンションの滞納管理費等は、区分所有法8条で買主にも請求できる
  • 一戸建ての別荘地は管理会社との契約内容が基準になる
  • 滞納額を書面で確定させ、決済時に売却代金から精算する
  • 温泉付きなら給湯契約の名義変更と利用料の精算も確認する

別荘売却の税金|3,000万円控除が原則使えない

結論

別荘はマイホームの3,000万円特別控除の適用除外です。利益が出れば、そのまま長期20.315%・短期39.63%の税率で課税されると考えて資金計画を立てます。

自宅を売ったときは、最高3,000万円を譲渡所得から差し引ける特例があるため、税金がかからないケースが多くあります。ところが別荘はこの特例の対象から外れているため、自宅と同じ感覚で考えると、売却後に想定外の税金に驚くことになります。

別荘はマイホーム特例の適用除外

国税庁のタックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」は、適用除外として「別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」を挙げています。

一方で、別荘として買った家でも、移住して生活の拠点にしているなら事情が変わります。ただし2つ以上の家を持っている場合、対象になるのは主として住まいに使っていた家屋だけです。特例を受けることだけを目的に入居したと認められる家屋も適用除外とされているので、判断に迷うときは税務署や税理士に確認してください。

譲渡所得の計算式と税率

土地や建物を売った利益(譲渡所得)は、給与などとは分けて計算します。国税庁の解説どおり、計算式は「売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)」です。建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

取得費が分からないときは、売却価格の5%を取得費にできるルールがあります。ただ、実際の購入価格より大幅に小さくなりやすいので、購入時の売買契約書は必ず探してください。

区分(売った年の1月1日時点の所有期間) 税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
長期譲渡所得(5年超) 15% + 0.315% + 5% = 20.315%
短期譲渡所得(5年以下) 30% + 0.63% + 9% = 39.63%

※復興特別所得税は所得税額の2.1%で、平成25年分から令和29年分まで課されます(国税庁 No.3208・No.3211)。

具体例

相続した別荘を1,000万円で売り、購入時の契約書がない場合

  • 取得費:売却価格の5% = 50万円/譲渡費用(仲介手数料など):40万円とする
  • 譲渡所得:1,000万円 −(50万円 + 40万円)= 910万円
  • 所得税136万5,000円 + 復興特別所得税2万8,665円 + 住民税45万5,000円 = 184万8,665円

同じ910万円の利益でも、自宅として3,000万円控除が使えれば税金はかかりません。別荘ではこの約185万円がそのまま負担になります。

所有期間が5年を超えるかどうかは、取得から丸5年ではなく、売った年の1月1日時点で判定します。判定の数え方は短期譲渡所得の税率と判定ルールの記事で詳しく解説しています。

売却損が出ても給与などと相殺できない

バブル期やリゾートブームの時期に買った別荘は、買った値段より安くしか売れないことも少なくありません。しかし国税庁 No.3203のとおり、土地建物の譲渡損失は他の土地建物の譲渡益とは相殺できても、給与所得や事業所得とは損益通算できません。

自宅の売却損なら一定の要件で給与と通算できる特例がありますが、居住用財産に限られた特例なので、別荘では使えません。「赤字で売れば税金が戻る」とは考えないようにしましょう。

注意

維持のために払ってきた修繕費や固定資産税は、譲渡費用には入りません。国税庁は、譲渡費用を「売るために直接かかった費用」に限っています。

相続した別荘を売る|登記・期限・使える特例

結論

相続した別荘は、まず相続登記を済ませないと売れません。空き家の3,000万円特例は使えない一方、相続税の取得費加算の特例は使える可能性があります。

別荘を相続するケースでは、亡くなった親が別荘を持っていたことを相続人が詳しく知らず、管理の状況や費用が分からないことがよくあります。売却の前に、登記・期限・税金の3点を整理しておきましょう。

まず相続登記|3年以内の義務と過料

2024年4月1日から相続登記が義務になりました。法務省によると、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前に相続した別荘も対象で、その場合は2027年3月31日までに登記が必要です。売買の決済では買主へ名義を移すため、相続人の名義になっていることが前提になります。制度の詳細は相続登記の義務化の記事を参照してください。

取得費と取得時期は親から引き継ぐ

相続した不動産の取得費は、亡くなった人が買ったときの購入代金などを基に計算します。取得の時期もそのまま引き継ぐため、親が5年以上前に買った別荘なら、相続直後に売っても長期譲渡所得になります。

相続人が相続のときに払った登記費用なども取得費に含められます。ただし取得費が分からず売却価格の5%を使う場合は、登記費用などを加えられない点に注意が必要です。

空き家特例は使えず、取得費加算は使える

相続した家の売却で使える空き家の3,000万円特例は、相続開始の直前に被相続人が住んでいた家屋が対象です。親が普段住んでいなかった別荘は、この要件を満たしません。要件の全体像は相続空き家の3,000万円特別控除の記事にまとめています。

一方、相続税を納めた場合は、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売れば、相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。別荘であっても使える特例なので、相続税を払った方は売却時期を意識してください。

  1. 相続開始を知った日から3か月以内相続放棄・限定承認の期限
  2. 死亡を知った日の翌日から10か月以内相続税の申告期限
  3. 取得を知った日から3年以内相続登記の申請義務
  4. 申告期限の翌日以後3年以内取得費加算の特例を使える売却期限
図:相続した別荘に関わる主な期限

相続放棄は「別荘だけ」はできない

「管理費がかかる別荘はいらない」という理由で相続放棄を考える方もいます。しかし民法939条により、相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされ、預金や自宅などほかの財産も一切相続できなくなります。

期限は、裁判所の案内のとおり相続の開始を知った時から3か月以内です。また、放棄の時点で別荘を現に占有していれば、引き渡すまで保存義務が残ります(民法940条)。詳しくは相続放棄した空き家の管理義務の記事を参照してください。

  • 相続財産全体(預金・自宅・別荘・借入れ)を一覧にしたか
  • 別荘の管理費・固定資産税の未払いがないか確認したか
  • 相続放棄をするなら、3か月の期限内に家庭裁判所へ申述するか
  • 相続する場合、3年以内に相続登記を申請する段取りがあるか
ちょっと一息

使っていないその別荘、今いくらで売れるか知っていますか?

持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
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持ち続けるコスト|固定資産税・住民税・買い手の税負担

結論

別荘は税制上「住宅」として扱われない場面が多く、敷地の固定資産税に住宅用地特例が使えないなど、自宅より保有コストが重くなりやすい物件です。

売るか持ち続けるかを決めるには、毎年いくら出ていくかを正確に把握する必要があります。別荘には、自宅にはない税負担がいくつかあります。

別荘の敷地には住宅用地特例が使えない

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかり、標準税率は1.4%です(総務省)。住宅の敷地には課税標準を200㎡以下の部分で6分の1、それを超える部分で3分の1にする住宅用地特例がありますが、その全部が別荘の用に供される家屋の敷地は除くと地方税法施行令52条の11で定められています。

用語の補足:別荘(地方税法上)

地方税法施行令36条では、日常生活の用に供しないものとして総務省令で定める家屋のうち、専ら保養の用に供するものを「別荘」としています。

具体例

固定資産税評価額600万円・200㎡以下の土地で比べた場合(特例の有無だけの単純計算)

  • 住宅の敷地:600万円 × 1/6 = 100万円 × 1.4% = 1万4,000円
  • 別荘の敷地:600万円 × 1.4% = 8万4,000円

実際の税額は負担調整措置などで変わりますが、特例が使えないことで土地の税負担が大きく違ってくることが分かります。

住んでいない市町村から住民税の均等割がかかる

地方税法294条は、市町村内に家屋敷を持ち、その市町村に住所がない個人にも市町村民税の均等割を課すと定めています。別荘のある市町村から、住民税の均等割の納税通知が届くことがあるのはこのためです。

金額自体は大きくありませんが、固定資産税・管理費と合わせると「使わない年も確実に出ていく費用」が積み上がります。保有コストの考え方は空き家の管理費用の記事も参考になります。

買い手の不動産取得税も「住宅」扱いにならない

不動産取得税の「住宅」は、地方税法73条4号で政令に委ねられ、地方税法施行令36条で別荘を除くとされています。つまり別荘の買い手は、住宅向けの不動産取得税の軽減を受けられません。

買い手は購入後の税負担まで含めて価格を判断するため、こうした税制の差も別荘の売れにくさにつながっています。保有コストが重い物件ほど、早く手放すほうが総額で得になる場面が出てきます。

横にスクロールできます

費用 かかるタイミング 別荘ならではの点 根拠
固定資産税 毎年(1月1日の所有者) 敷地に住宅用地特例が使えない 地方税法施行令52条の11
住民税の均等割 毎年 住所がなくても家屋敷があれば課税 地方税法294条
管理費・修繕積立金 毎月 使わなくても発生し、滞納は売却時に精算 区分所有法7条・8条(マンションの場合)
譲渡所得税 売却して利益が出たとき 3,000万円控除が原則使えない 国税庁 No.3302

別荘を売る方法|仲介・買取・国庫帰属の比較

結論

高く売る可能性を探るなら仲介、早く確実に手放すなら買取です。建物を解体できる土地なら、相続土地国庫帰属制度も最後の選択肢になります。

別荘の売却では、価格だけでなく「いつまでに手放せるか」が重要です。売れない期間が延びるほど、管理費や固定資産税の負担が積み上がるからです。それぞれの方法の特徴を比べて選びましょう。

仲介と買取の違い

仲介は不動産会社に買い手を探してもらう方法で、相場に近い価格を狙える反面、買い手が見つかるまでの期間は読めません。買取は不動産会社が直接買い取る方法で、価格は仲介より低くなりやすい一方、現況のまま・短期間で売却を確定できるのが強みです。

買取のメリット

  • 買い手探しが不要で、引渡し時期を決めやすい
  • 建物の傷みや残置物があっても相談しやすい
  • 売れない期間の管理費・固定資産税を止められる

買取のデメリット

  • 仲介で売れた場合より価格は低くなりやすい
  • エリアや物件によっては買取の対象外になることもある

1社だけの見解では判断を誤りやすいので、仲介での想定価格と買取価格を複数社から聞き、差額と「売れるまでの保有コスト」を比べるのが合理的です。

相続土地国庫帰属制度は「建物なし」が条件

2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。ただし建物がある土地は申請できないため、別荘の場合は解体して更地にすることが前提になります。

審査手数料は土地1筆あたり14,000円です。承認されると10年分の管理費用を考慮した負担金を納めます。負担金は土地の種類で決まり、市街化区域(区域区分のない都市計画区域では用途地域)の外にある宅地などは原則20万円、その区域内の宅地や一部の農地、森林は面積に応じて算定されます。

具体例

解体後の別荘地(2筆、市街化区域・用途地域の外の宅地)を国庫帰属させる場合

  • 審査手数料:14,000円 × 2筆 = 2万8,000円
  • 負担金:1筆ごとに算定すると20万円 × 2筆 = 40万円(2筆が隣接していれば、1筆とみなして20万円で算定するよう申し出ることもできる)
  • → 制度の費用だけで最大42万8,000円(このほか建物の解体費がかかる)

解体費と合わせると、売却や買取で手放すより出費が大きくなることもあります。先に買取の可能性を確かめてから検討するのが順番です。

費用を先に求める引き取り話には注意

「引き取ります」「買い手がいます」と持ちかけられても、測量費や広告費などの名目で先に費用を求められる話には慎重になってください。契約前に、誰が・いくらで・いつ買うのかが書面で示されているかを必ず確認しましょう。

宅地や建物の売買・仲介を業として行うには、宅地建物取引業法にもとづく免許が必要です。相手の免許番号を確認し、支払いが先で売却が後になる契約は避けるのが安全です。

結論

別荘は持ち続けるほど費用がかかる資産です。仲介の想定価格と買取価格を並べて比べ、保有コストを含めた手残りで売り方を決めることが、損を小さくする一番の近道です。

別荘売却の手順と準備チェックリスト

結論

別荘の売却は、名義・滞納・維持費・取得費の4つの情報を先にそろえるほど早く進みます。売却後は、利益が出れば確定申告が必要です。

遠方にある別荘は、現地に何度も足を運ぶのが難しいものです。手順を先に把握し、書類を一度にそろえておくと、売主の負担も買い手の不安も小さくできます。

売却までの5つのステップ

  1. 名義と権利関係を確認する登記事項証明書で名義を確認し、相続した別荘なら相続登記を済ませます。共有名義なら全員の同意が必要です。
  2. 管理費の滞納と維持費を確認する管理組合・管理会社に未払い額を書面で照会し、年間の維持費を一覧にします。
  3. 複数社に査定を依頼する仲介での想定価格と、買取の可否・価格を両方聞いて比べます。
  4. 売り方を決めて契約する滞納の精算方法、引渡し時期、残置物の扱いを契約書に明記します。
  5. 決済・引渡し後に確定申告する利益が出た場合は、売った年の翌年に譲渡所得を申告します。

相続人が複数いて共有名義になっている別荘は、全員の合意がないと売却できません。話がまとまらないときの進め方は相続した共有不動産の売却の記事で解説しています。

売り出す前にそろえる書類と情報

買い手や不動産会社から必ず聞かれる情報を、先にまとめておきましょう。特に購入時の売買契約書は、取得費の証明として税額に直結します。契約書がないと取得費が売却価格の5%になり、税金が増えやすいので、早めに探してください。

  • 登記事項証明書(名義・抵当権の有無)
  • 購入時の売買契約書・領収書、リフォームの記録(取得費の証明)
  • 管理規約・使用細則、管理会社との契約書と料金表
  • 管理費・修繕積立金の未払い額が分かる書面
  • 固定資産税の納税通知書(評価額と税額)
  • 建物の不具合(雨漏り・給排水・凍結被害など)の有無のメモ
  • 家具・備品を残すか撤去するか(残すなら売買契約書に品目を明記)

相続した別荘で相続税を払っている場合は、相続税の申告書も保管しておきましょう。取得費加算の特例を使うときの計算に必要です。特例の計算方法は取得費加算の特例の記事で解説しています。

この項目のまとめ
  • 名義・滞納・維持費・取得費の4つを先にそろえる
  • 査定は仲介と買取の両方を複数社で比べる
  • 利益が出たら、売った年の翌年に確定申告をする

よくある質問

別荘を売って利益が出たら、マイホームの3,000万円控除は使えますか?

原則として使えません。国税庁は、別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋を、この特例の適用除外としています。

ただし移住して生活の拠点にしている場合など、主として住まいに使っている家屋であれば対象になり得るため、税務署や税理士に確認してください。

管理費を滞納したままリゾートマンションを売れますか?

売ること自体は可能ですが、区分所有法8条により滞納管理費等は買主にも請求できるため、そのままでは買い手がつきにくくなります。滞納額を書面で確定させ、決済時に売却代金から精算するのが現実的です。売却を依頼する不動産会社にも、滞納があることを早めに伝えておきましょう。

相続した別荘だけを相続放棄できますか?

できません。相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされ、預金や自宅など別荘以外の財産も相続できなくなります。期限は相続の開始を知った時から3か月以内なので、財産全体を調べてから判断してください。別荘だけを手放したいなら、相続したうえで売却や買取を検討するのが基本です。

建物付きの別荘を国に引き取ってもらえますか?

相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請できません。解体して更地にし、ほかの要件も満たせば申請できますが、審査手数料(1筆14,000円)と負担金(原則20万円など)がかかります。解体費も含めて売却や買取と比べてください。

この記事のまとめ

  • 別荘は買い手が限られ、維持費まで比べられるため一般の住宅より売れにくい
  • リゾートマンションの滞納管理費等は買主にも請求できるので、決済時に精算する
  • 3,000万円控除は原則使えず、利益には長期20.315%・短期39.63%の税金がかかる
  • 相続した別荘は3年以内に相続登記。空き家特例は使えないが取得費加算は使える場合がある
  • 敷地に住宅用地特例が使えないなど保有コストが重く、仲介・買取・国庫帰属を手残りで比べる

別荘は持っているだけで費用がかかり続けます。売るかどうかを決める前に、まず現在の価格と買取の可能性を知ることから始めてください。

この記事を書いた人

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