家を売りに出して数か月、問い合わせが少ない、内見はあるのに申し込みが入らない——そんな状態が続くと「値下げするしかないのか」「不動産会社を替えるべきか」と迷いが募ります。周りに相談しにくく、ずるずると売り出しを続けてしまう方も少なくありません。
結論から言うと、家が売れないときは原因を「価格」「物件」「不動産会社」「販売活動」の4つに切り分けるのが先です。そのうえで専任媒介の有効期間である3か月を区切りに、成約価格のデータで価格を見直し、会社と契約を見直すのが基本の流れです。
それでも買い手が見つからない家や、期限のある事情を抱えている場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」へ切り替える判断も現実的です。順番を間違えなければ、値下げのしすぎも、売れ残りの長期化も避けられます。
この記事を読むとわかること
- 家が売れない原因を4つに切り分ける方法と、反響の数字の読み方
- 不動産情報ライブラリなどで成約価格を確かめ、値下げ幅を決める考え方
- 媒介契約の3か月の期限と、更新・切替のときに確認すべき義務
- インスペクション(建物状況調査)の費用・効果と、告知の注意点
- 仲介から買取へ切り替える判断基準と、税金の特例の期限
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 売れない原因は価格・物件・不動産会社・販売活動の4つ。問い合わせ数・内見数・申込数のどこで止まっているかで切り分けます。
- 価格は売出価格ではなく成約価格で比べます。国土交通省の不動産情報ライブラリで、取引価格と成約価格を無料で確認できます。
- 専任媒介・専属専任媒介の有効期間は最長3か月で、更新は売主の申出が必要です。期限ごとに会社と販売活動を見直せます。
- インスペクションの費用は6万円程度からが目安。物件の状態を開示でき、買主の不安を減らす材料になります。
- 期限がある、建物に大きな不具合がある、何度見直しても売れない場合は、買取への切替を比較対象に入れます。
家が売れない原因は4つに切り分けられる
家が売れない原因は「価格」「物件」「不動産会社」「販売活動」の4つのどれか、または組み合わせです。問い合わせ・内見・申込のどの段階で止まっているかを見れば、原因の見当がつきます。
「売れない」とひとことで言っても、打つべき手は原因によってまったく違います。原因を確かめずに値下げだけを繰り返すと、本当は広告の出し方が問題だったのに、手取りだけが減っていくことになります。
価格・物件・不動産会社・販売活動の4つ
まずは4つの原因を並べて、自分の家に当てはまりそうなものを確かめます。複数が重なっていることも多いので、1つに決めつけず、下の表の「よくあるサイン」をすべて見てください。
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| 原因 | よくあるサイン | 確かめる方法 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 問い合わせ自体が少ない/内見後に「高い」と言われる | 近隣の成約価格と比べる | 根拠のある価格に見直す |
| 物件 | 内見はあるが申込がない/建物の傷みや雨漏りを指摘される | 内見者の反応を担当者に聞く | インスペクション・告知・買取 |
| 不動産会社 | 報告が少ない/他社からの紹介が入らない | 業務報告とレインズの登録状況を確認 | 媒介契約の更新をやめ、会社を替える |
| 販売活動 | 写真が少ない・暗い/掲載サイトが限られている | 自分の物件の広告を実際に見る | 写真・紹介文・掲載先を改める |
※「物件」には、旧耐震基準や再建築不可など、価格を下げても買主のローンが付きにくい事情も含まれます。
物件そのものに買主が敬遠しやすい事情がある場合は、値下げだけでは解決しないことがあります。たとえば旧耐震基準の家が売れにくい理由や再建築不可物件の売却方法も確認しておくと、打ち手を選びやすくなります。
問い合わせ・内見・申込のどこで止まっているか
原因を見分けるいちばん確かな方法は、反響の数字を段階ごとに見ることです。担当者に「ポータルサイトの閲覧数」「問い合わせ数」「内見数」「申込数」を聞き、どこで数字が途切れているかを確認します。
- 閲覧が少ない掲載先・写真・価格帯の検索条件から外れている
- 問い合わせが少ない価格が相場より高い・広告の情報不足
- 内見後に申込がない物件の状態・価格と中身の釣り合い
- 申込後に流れるローン審査・契約条件の調整
閲覧や問い合わせの段階で止まっているなら、価格か販売活動を疑います。内見まで進むのに申込がないなら、物件の状態や、価格と中身の釣り合いに原因があることが多いです。
3か月を1つの区切りにする理由
見直しのタイミングは、媒介契約の有効期間である3か月を区切りにすると判断しやすくなります。専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、宅地建物取引業法で3か月を超えられないと決まっているからです。
3か月あれば、反響の数字もある程度たまります。期限が来る前に数字を整理しておけば、「価格を直して同じ会社で続ける」「会社を替える」「買取を比べる」のどれを選ぶかを、感覚ではなく材料で決められます。
- 原因は価格・物件・不動産会社・販売活動の4つ。重なっていることも多い
- 閲覧・問い合わせ・内見・申込のどこで止まっているかで原因を見分ける
- 専任媒介の有効期間である3か月を、見直しの区切りにする
価格の見直し|売出価格ではなく成約価格で比べる
価格を見直すときは、ポータルサイトの売出価格ではなく実際に売れた「成約価格」と比べます。国土交通省の不動産情報ライブラリで、成約価格を無料で確かめられます。
「近所の似た家が同じくらいの値段で出ているから」と価格を決めると、相場より高い価格のまま売り出しを続けることになりがちです。比べるべきは、いま出ている価格ではなく、実際に買い手がついた価格です。
ポータルサイトの価格は「売れ残り」の価格
ポータルサイトに並んでいるのは、まだ買い手がついていない物件の売出価格です。相場に合った物件から先に売れていくため、掲載が長く続いている物件ほど、相場より高い可能性があります。それと横並びにしても、相場の確認にはなりません。
また、売出価格は値引き交渉の前の金額です。実際の取引は、交渉を経て売出価格より下で決まることも珍しくありません。だからこそ、契約が成立した価格のデータを見る意味があります。
不動産情報ライブラリで成約価格を調べる手順
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格の情報に加えて、レインズが保有する成約価格の情報もまとめて見られます。成約価格の情報は、個別の取引が特定できないよう加工したうえで公開されています。
国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社どうしの物件情報ネットワークです。専任媒介・専属専任媒介で預かった物件は、ここへの登録が法律で義務づけられています。
- 「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索」を開く不動産情報ライブラリのトップページから選べます。登録や料金は不要です。
- 地域と種類を絞り込む市区町村や地区、「中古マンション等」「宅地(土地と建物)」などの種類、時期を選びます。
- 条件の近い取引を拾う面積・築年・駅からの距離が近いものを複数選び、価格の幅を見ます。
- 自分の売出価格と比べる幅の上限より高く出しているなら、価格が反響を止めている可能性が高いと判断できます。
国土交通省は、売主・買主自身が取引価格の参考情報を確認することを消費者向けのお知らせで勧めています。成約価格はレインズの「レインズ・マーケット・インフォメーション」でも公表されています。
値下げ幅は「根拠」と「手取り」で決める
宅地建物取引業法では、不動産会社が売出価格について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないとされています。値下げを提案されたら、どの成約事例をもとにした金額なのかを必ず聞きましょう。
そして値下げ額は、そのまま手取りの減少額ではありません。成約価格に応じて仲介手数料も変わるため、実際の手取りの差で考えると判断がぶれにくくなります。
3,000万円の売出価格を2,850万円に見直して成約した場合
- 仲介手数料の上限(税込)は「200万円以下の部分×5.5%+200万円超400万円以下の部分×4.4%+400万円超の部分×3.3%」
- 3,000万円で成約:11万円+8.8万円+85.8万円=105.6万円
- 2,850万円で成約:11万円+8.8万円+80.85万円=100.65万円
- → 値下げ額は150万円だが、手数料が4.95万円減るため、手取りの差は約145万円
上限額どおりの手数料の場合の計算です。値下げで成約までの期間が短くなれば、その間の固定資産税や管理の手間も減ります。
小刻みな値下げを何度も繰り返すと、ポータルサイトで価格の推移を見ている買主に「まだ下がる」と受け取られがちです。成約事例をもとに、1回で根拠のある価格まで見直すほうが反響を得やすくなります。
媒介契約の見直し|3か月の期限で会社と契約を選び直す
専任媒介・専属専任媒介の有効期間は最長3か月で、更新は売主の申出があったときだけです。期限のたびに、報告やレインズ登録の義務が守られているかを確かめ、続けるか替えるかを決めます。
価格に問題がなさそうなのに反響が少ないときは、不動産会社の販売活動を疑います。媒介契約には法律で決まった義務があるので、それが果たされているかを確認するのが出発点です。
3種類の媒介契約と、法律で決まっている義務
媒介契約には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。専任媒介と専属専任媒介は1社にしか依頼できない代わりに、不動産会社にレインズへの登録や定期的な報告が義務づけられています。
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| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 他社への重ねての依頼 | できる | できない | できない |
| 自分で見つけた買主との契約 | できる | できる | できない |
| 有効期間 | 法律上の3か月の上限はない | 3か月以内 | 3か月以内 |
| レインズへの登録 | 義務なし | 契約日から7日以内 | 契約日から5日以内 |
| 業務の処理状況の報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
※レインズ登録の日数は休業日を含めずに数えます。購入の申込みがあったときの報告は、3種類とも遅滞なく行う義務があります。
専任媒介・専属専任媒介でレインズに登録した会社は、登録を証する書面(登録証明書)を売主に渡す義務もあります。登録証明書を受け取っていないなら、まず担当者に確認してください。これらの義務に反する特約は無効です(宅地建物取引業法 第34条の2)。
レインズのステータス管理で「囲い込み」を確かめる
レインズには、登録物件の取引状況を「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3区分で登録するステータス管理機能があります。売主は登録証明書に記載されたIDとパスワードで「売主専用画面」に入り、自分の物件の状況を確認できます。
国土交通省のリーフレットは、この機能が「囲い込み」の防止に役立つと説明しています。令和7年1月からは、登録証明書の二次元コードから売主専用画面に簡単にアクセスできるようになりました。
一部の不動産会社が、売主・買主の双方から仲介手数料を得る目的で、物件の取引状況を故意に隠し、他社への紹介を行わないような行為です。早期の成約の可能性を狭め、売主の利益を損なうおそれがあります。
売主専用画面で確かめること
- 自分は頼んでいないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていないか
- 価格や面積などの登録内容が、実際の売出条件と合っているか
- 覚えのない状態なら、依頼した会社に問い合わせて是正してもらう
リーフレットの詳細は、国土交通省の売主の皆様向けリーフレット(PDF)で確認できます。
更新しない・会社を替えるときの手順
専任媒介の有効期間は、依頼者の申出によってのみ更新でき、申出がなければ期間満了で終わります。自動更新とする特約は、この規定に反するため無効です。会社を替えたいときは、満了日を確認して更新を申し出なければよいだけです。
- 媒介契約書で満了日と解除の条件を確認する有効期間と解除に関する事項は、媒介契約書の記載事項です。期間途中で解除する場合の取り決めもここで確かめます。
- 3か月間の反響の数字をまとめてもらう閲覧数・問い合わせ数・内見数・申込数と、内見者の反応を書面やメールで受け取ります。
- 複数社から査定と販売計画を聞く査定価格の根拠となる成約事例と、写真・広告・掲載先の具体的な計画を比べます。
- 更新するか、新しい会社と契約するかを決める更新しない場合は、満了日の翌日以降に新しい会社と媒介契約を結びます。
- 専任は7日以内、専属専任は5日以内にレインズ登録。報告は2週間・1週間に1回以上
- 売主専用画面で「売主都合で一時紹介停止中」になっていないかを確認する
- 更新は売主の申出が必要。満了日に合わせて会社を選び直せる
いまの売出価格、複数社の査定と比べてみませんか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
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物件の不安を減らす|インスペクションと告知
内見後に申込が入らない家は、建物の状態への不安が原因のことがあります。インスペクション(建物状況調査)で状態を開示し、分かっている不具合は必ず告げることで、買主の不安と後のトラブルを減らせます。
中古住宅は、これまでの維持管理や経年劣化によって1軒ごとに状態が違います。買主は「見えないところが傷んでいないか」を気にするため、状態を客観的に示せる材料があると、比較の土俵に乗りやすくなります。
建物状況調査で分かること・費用・時間
建物状況調査は、国の登録を受けた機関の講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分を目視や計測などで調べるものです。基礎・壁・柱・土台・屋根・外壁・開口部の建具などが対象です。
宅地建物取引業法で定められた、既存住宅の状態の調査です。不動産会社は媒介契約書に、調査を実施する者のあっせんに関する事項を書くことになっています。
国土交通省の建物状況調査(インスペクション)活用の手引き(PDF)によると、調査にかかる時間は物件の規模にもよりますが1〜3時間程度、費用は6万円程度からが目安です。ただし、すべての瑕疵がないことを約束するものではありません。
調査費用6万円と、値下げ額を比べる場合
- 建物の状態への不安から、内見者に価格交渉の材料にされている
- 調査費用の目安:6万円程度から
- → 「見えない部分が不安」という理由の値引き要求に対し、調査結果という客観的な材料で応じられる
調査で不具合が見つかった場合も、それを前提にした価格と説明で売り出せば、契約後のトラブルを避けやすくなります。
売主が先に調査するメリットと注意点
調査は売主・買主のどちらが行ってもかまいませんが、買主が行う場合は売主の同意が必要です。売主が先に行っておけば、買主が検討の段階で結果を見られます。結果は、実施から1年以内(鉄筋コンクリート造などの共同住宅等は2年以内)のものが重要事項説明の対象になります。
メリット
- 不具合がなければ、広告で買主へのアピール材料になる
- 不具合があっても、事前に伝えたうえで価格に織り込める
- 一定の要件を満たせば、既存住宅売買瑕疵保険の検査と併せて実施できる
デメリット
- 6万円程度からの費用が売主の負担になる
- 見つかった不具合は、買主に告げる必要がある
- 調査できない箇所は省略されることがある
不具合は隠さず告げる|免責特約でも残る責任
売った家が契約の内容に適合しなかった場合、買主は修補などを請求できます(民法第562条)。売主が不動産会社でない取引では「契約不適合責任を負わない」という特約を結ぶこともできますが、知りながら告げなかった事実については、特約があっても責任を免れません(民法第572条)。
雨漏りやシロアリの被害など、知っている不具合は物件状況の告知書に書いて伝えるのが原則です。雨漏りがある家の告知の範囲は雨漏りする家の売却の記事で詳しく解説しています。
買主から調査をしたいと頼まれたのに断り、引渡し後に不具合が見つかると「隠していたのでは」と争いになりやすい、と国土交通省の手引きも注意を促しています。調査の申し出には前向きに応じるのが安全です。
内見の印象を整える|片付け・明るさ・空き家の手入れ
建物そのものに大きな問題がなくても、内見のときの印象で検討から外れてしまうことがあります。費用をかけたリフォームより先に、売主の手でできる準備を見直してみてください。
- 玄関・キッチン・浴室・トイレなど水回りを中心に掃除しておく
- 物を減らして床と収納の中が見えるようにし、部屋を広く見せる
- カーテンを開け、照明をつけて室内を明るくしておく
- 空き家なら、換気や庭の手入れを続け、においや荒れた印象を残さない
- 広告の写真が暗い・少ないときは、撮り直しを担当者に相談する
内見の後は、担当者から内見者の感想を聞き、指摘が多い点から手を入れます。指摘が価格や建物の状態に集中するなら、価格の見直しや、上で触れたインスペクションを検討する段階です。
買取への切替|仲介で売れない家の出口
価格も会社も見直したのに売れない家や、売却に期限がある場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう買取を仲介と並べて比べるのが現実的です。
仲介は買い手を探す方法なので、買い手が現れるまで売れません。買取は不動産会社自身が買主になるため、条件が合えば買い手探しの期間がなくなります。どちらが得かは、価格の差と、待つ間にかかる負担の両方で決まります。
買取が向いている家・向いている事情
次のどれかに当てはまる場合は、仲介を続けながら買取の査定も取り、両方の条件を見比べておくと判断が早くなります。
- 2回以上の媒介期間(約6か月以上)を経ても申込が入らない
- 雨漏り・傾き・設備の故障など、直すと費用がかさむ不具合がある
- 旧耐震基準・再建築不可・検査済証がないなど、買主のローンが付きにくい事情がある
- 相続や住み替えで、税金の特例や資金計画に期限がある
- 空き家の管理や固定資産税の負担を早く終わらせたい
空き家のまま売れ残っていると、管理の手間と費用もかかり続けます。年間にかかる費用の内訳は空き家の管理費用の記事で確認できます。
仲介と買取のメリット・デメリット
買取の価格は、不動産会社が買ったあとに直したり、再販したりする費用やリスクを見込むため、一般に仲介での成約価格より低くなります。その代わり、次のような違いがあります。
買取のメリット
- 買い手探しがないので、売れるまで待つ期間がない
- 不動産会社が直接の買主なら、媒介ではないため仲介手数料がかからない
- 不具合のある家でも、現況のまま引き取ってもらえることがある
買取のデメリット
- 価格は仲介での成約価格より低くなるのが一般的
- 会社によって査定額の差が大きく、1社だけでは比べられない
- 知っている不具合を告げる必要があるのは仲介と同じ
仲介か買取かは、手取りの差と、売れるまで待つ間の負担や期限を並べて決めます。どちらか一方の査定しか取っていないと比べられないので、両方の金額を出してから判断してください。
安い家は仲介手数料の特例にも注意
令和6年7月1日から、物件価格が800万円以下の「低廉な空家等」の仲介では、不動産会社は通常の上限を超えて、30万円の1.1倍(33万円)まで手数料を受け取れるようになりました。使用の状態は問わないため、空き家に限らず800万円以下の宅地建物が対象です。
600万円の家を仲介で売る場合の手数料
- 通常の上限:200万円×5.5%+200万円×4.4%+200万円×3.3%=26.4万円
- 特例の上限:30万円×1.1=33万円
- → 特例が適用されると、差額は最大で6.6万円
特例を適用するかどうかと金額は、媒介契約を結ぶときにあらかじめ合意しておくことが重要です。安い家ほど、仲介と買取の手取りの差が小さくなることもあります。
期限から逆算する|税金の特例と見直しのスケジュール
住まなくなった家や相続した家の売却には、3,000万円の特別控除が使える期限があります。売れないまま期限を過ぎると税金が大きく増えることがあるため、期限から逆算して見直しの回数を決めます。
売れない期間が延びることの損失は、維持費だけではありません。税金の特例には売却の期限があるものが多く、期限を過ぎると、価格を下げて早く売った場合より手取りが少なくなることもあります。
3,000万円控除には「3年」の期限がある
マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除は、所有期間の長短に関係なく使えます。ただし、以前に住んでいた家は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります(国税庁 No.3302)。
相続した実家を売る場合の空き家の3,000万円特別控除も、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の1つです。売却代金が1億円以下であることなど、ほかの要件もあります(国税庁 No.3306)。要件の詳細は相続空き家の3,000万円特別控除の記事をご覧ください。
期限の数え方
- 2026年6月に住まなくなった家なら、期限は2029年12月31日
- 2026年6月に相続が始まった家も、空き家特例の売却期限は2029年12月31日
- 「3年後の同じ日」ではなく、その年の12月31日まで。年の途中で住まなくなっても、年末までの猶予がある
3か月ごとの見直しスケジュール
期限がある場合は、媒介契約の3か月を1単位として、何回見直せるかを先に数えます。期限の半年前には買取の金額も確定させておくと、仲介で売れなかったときにも間に合います。
- 媒介契約の締結専任は7日以内、専属専任は5日以内にレインズ登録。登録証明書を受け取る
- 契約中の報告専任は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上。反響の数字を記録する
- 2〜3か月目成約価格と反響の数字で原因を切り分け、価格・会社・買取を比べる
- 3か月の満了日更新は売主の申出があるときだけ。続けるか、替えるか、買取に切り替えるかを決める
- 税金の特例の期限と、引渡しまでに必要な期間を書き出す
- 期限までに媒介契約を何回(3か月×何回)見直せるかを数える
- 各回の終わりに、成約価格・反響の数字・買取の査定額を並べて比べる
- 最後の1回が始まる前に、買取へ切り替える条件を決めておく
よくある質問
家が売れないとき、何か月で値下げを考えるべきですか?
専任媒介・専属専任媒介の有効期間は最長3か月なので、満了日の前に反響の数字と近隣の成約価格を見直すのが目安です。問い合わせ自体が少ないなら価格が原因の可能性が高く、内見後に申込がないなら物件の状態も確認します。値下げは成約事例を根拠に、1回で見直すのが基本です。
媒介契約を結んだ不動産会社を替えることはできますか?
できます。専任媒介の更新は依頼者の申出があったときだけ認められ、自動更新の特約は無効です。満了日に更新を申し出なければ契約は終わり、別の会社と契約できます。期間途中の解除は、媒介契約書の解除に関する条項を確認してください。次の会社には、査定価格の根拠と販売計画を先に聞いておきましょう。
インスペクションの費用は誰が払うのですか?
調査を依頼した人が払うのが一般的です。調査は売主・買主のどちらが実施してもよく、買主が実施する場合は売主の同意が必要です。国土交通省の手引きでは、費用は6万円程度からが目安とされています。売主が先に実施しておけば、結果を買主の検討材料として最初から示せます。
買取に切り替えると仲介手数料はかかりますか?
不動産会社が自ら買主になる直接の買取であれば、媒介ではないため仲介手数料はかかりません。
ただし、別の不動産会社が間に入って買取業者を紹介する形だと、その会社への仲介手数料が発生することがあります。契約の形を事前に確認してください。
この記事のまとめ
- 売れない原因は価格・物件・不動産会社・販売活動の4つ。反響が止まる段階で切り分ける
- 価格は売出価格ではなく成約価格で比べ、根拠と手取りで値下げ幅を決める
- 専任媒介は最長3か月。報告・レインズ登録・ステータスを確かめ、更新か切替かを決める
- インスペクションは6万円程度から。知っている不具合は免責特約があっても告げる
- 何度見直しても売れない家や期限のある家は、買取の金額も並べて比べる
- 3,000万円控除などの期限から逆算し、見直しの回数を先に決める
どの対策を選ぶにしても、出発点は「いまの家が実際にいくらで売れるのか」を知ることです。仲介と買取の両方の金額をそろえるところから始めてください。