買い替えローンとは?残債がある家の住み替え・つなぎ融資・控除の注意点

買い替えローンで残債がある家から住み替える流れと住宅ローン控除の注意点を解説する記事のイメージ

今の家の住宅ローンがまだ残っているけれど、子どもの成長や通勤の都合で住み替えたい。そう考えたときに最初にぶつかるのが「残っているローンはどうなるのか」「新しい家のローンは組めるのか」という資金の問題です。

結論から言うと、残債がある家の買い替えは、今の家がいくらで売れるかで取れる方法がほぼ決まります。売却額で残債を返しきれるなら通常の住宅ローンで足り、返しきれないときに旧居の残債と新居の購入資金をまとめて借りる「買い替えローン」が選択肢になります。

この記事では、買い替えローン・つなぎ融資・ダブルローンの違い、売り先行と買い先行の資金の流れ、審査で見られる点、そして住宅ローン控除と3,000万円特別控除の「どちらか一方」ルールまで、国税庁の公表情報をもとに整理します。

この記事を読むとわかること

  • 買い替えローン(住み替えローン)・つなぎ融資・ダブルローンの違い
  • 残債がある家を売って買い替えるときの資金計算のしかた
  • 売り先行・買い先行それぞれで使うローンと注意点
  • 買い替えローンの審査で見られる返済負担率などのポイント
  • 住宅ローン控除と旧居売却の税金の特例をどう選ぶか

この記事の結論

  1. 買い替えローンは、新居の購入資金に旧居の売却で返しきれない残債を上乗せして借りる住宅ローン。売却と購入の決済を同じ日にそろえるのが前提です。
  2. まず「旧居の売却見込額 − 残債 − 売却諸費用」を計算する。プラスなら通常の住宅ローン、マイナスなら自己資金か買い替えローンで穴埋めします。
  3. 買い先行で新居の代金を先に払うならつなぎ融資、旧居のローンを残したまま新居のローンを組むならダブルローン。どちらも二重の負担が生じます。
  4. 旧居の売却で3,000万円特別控除を、新居に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間のいずれかの年に使うと、新居の住宅ローン控除が受けられません。どちらが得かを数字で比べてから選びます。
  5. 売却損が出る買い替えなら、損益通算・繰越控除の特例(令和9年12月31日までの譲渡が対象)は住宅ローン控除と併用できます。

買い替えローンとは?住み替えローン・つなぎ融資・ダブルローンの違い

結論

買い替えローンは新居の購入資金に旧居の残債の不足分を上乗せして借りる住宅ローンです。つなぎ融資は短期の橋渡し、ダブルローンは2本のローンを並行して返す状態を指し、性質がまったく違います。

住み替えの資金の話では、似た言葉がいくつも出てきます。銀行によって「住み替えローン」「住みかえローン」「買い替えローン」と呼び方が違いますが、中身はほぼ同じ商品です。一方、つなぎ融資とダブルローンは、借り方やその結果の状態を指す言葉です。

買い替えローン(住み替えローン)の仕組み

買い替えローンは、旧居を売却して新居を購入する住み替えのために設定される住宅ローンです。旧居の売却代金だけでは住宅ローンを完済できないとき、その不足分を新居のローンに上乗せして1本にまとめて借ります。

旧居に住宅ローンが残っていると、抵当権を消さない限り買主に引き渡せません。売却代金がローン残高を下回ると抵当権を消せないため、金融機関が新居のローンと一緒に旧居の完済資金も貸す、というのがこの商品の役割です。

用語の補足:抵当権

住宅ローンを貸した金融機関が、返済が滞ったときに家を売って回収できるよう登記しておく権利です。売却時はローンを完済して抹消するのが通常で、残ったままでは買主が見つかりません。

つなぎ融資は「代金を払う日」と「売却代金が入る日」の橋渡し

つなぎ融資は、一時的な資金不足を補うための短期の融資です。住み替えでは、新居の代金支払いが旧居の売却代金の受け取りより先に来る場合に使われます。旧居が売れた時点で、その代金でつなぎ融資を返す仕組みです。

あくまで「足りない期間だけ借りる」お金なので、通常の住宅ローンとは別に利息や事務手数料がかかります。借入期間・金利・手数料は金融機関ごとに違い、旧居がなかなか売れないと利息の負担が長引く点に注意が必要です。

また、住宅ローン控除の対象は「10年以上にわたり分割して返済する」借入金です(国税庁 No.1211-1)。旧居の売却代金でまとめて返す短期のつなぎ融資は、この要件に当たらない点も押さえておきます。

ダブルローンは2本の住宅ローンを並行して返す状態

ダブルローンは商品名ではなく、旧居の住宅ローンを残したまま新居でもう1本住宅ローンを組んだ状態のことです。旧居が売れるまで毎月2本分の返済が続くため、収入に十分な余裕がある人でないと組めないのが普通です。

旧居を売らずに賃貸に出す前提でダブルローンを考える人もいますが、住宅ローンは本人や親族が住むための資金として借りる契約が一般的です。貸す予定があるなら、返済中の金融機関に事前に相談してください。

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項目 買い替えローン つなぎ融資 ダブルローン
性質 住宅ローンの商品 短期の融資 ローンが2本ある状態
主な場面 売却額で残債を返しきれない(オーバーローン) 買い先行で新居の代金を先に払う 旧居を残したまま新居を買う
返済の負担 1本にまとまる(ただし借入額は増える) 旧居が売れるまで利息が上乗せ 旧居が売れるまで2本分を返す
前提条件 旧居の売却と新居の購入の決済を同じ日にそろえる 旧居が予定どおり売れる 2本分の返済に耐える収入

※条件や名称は金融機関によって異なります。取り扱いの有無を含めて借入先に確認してください。

残債がある家の買い替えは「売却額−残債」で方法が決まる

結論

最初にやることは「売却見込額 − ローン残債 − 売却諸費用」の計算です。プラス(アンダーローン)なら通常の住宅ローンで買い替えられ、マイナス(オーバーローン)なら不足分の手当てが必要になります。

どのローンを使うかは、好みではなく旧居の数字で決まります。ローンの相談に行く前に、残債と売却見込額の2つを手元にそろえておくと、金融機関や不動産会社との話が一度で進みます。

残債と売却見込額を正確に把握する

残債は、金融機関から届く返済予定表や年末残高証明書で確認できます。売却見込額は、近隣の成約事例を基にした査定で把握します。ここで1社だけの査定額を前提にしないことが大切です。高めの査定を基に資金計画を立てると、実際の売却額との差がそのまま不足額になります。

  • 住宅ローンの残高(返済予定表・残高証明書で確認)
  • 繰上返済(一括返済)にかかる手数料の有無
  • 複数社の査定額と、その根拠になった成約事例
  • 仲介手数料・抵当権抹消の登記費用など売却にかかる諸費用
  • 新居の購入に使える自己資金の額

アンダーローンなら通常の住宅ローンで買い替えられる

売却額で残債と諸費用を払っても手元にお金が残る状態をアンダーローンといいます。この場合は旧居の売却代金で住宅ローンを完済し、残ったお金を新居の頭金に回せるので、新居は通常の住宅ローンで購入できます。買い替えローンを使う必要はありません。

  1. 残債と売却見込額を確認返済予定表と複数社の査定
  2. 差額を計算売却見込額−残債−諸費用
  3. プラスなら通常の住宅ローン残りは新居の頭金へ
  4. マイナスなら穴埋めが必要自己資金か買い替えローン
図:残債がある家の買い替えで、使うローンが決まる流れ

オーバーローンなら自己資金か買い替えローンで穴埋めする

売却額が残債を下回る状態がオーバーローンです。不足分を預貯金で払えるなら、それで旧居のローンを完済して売却できます。自己資金が足りないときに、不足分を新居のローンに上乗せする買い替えローンを検討します。

投資用物件など住み替え以外の理由でオーバーローンになっている場合の売り方は、投資用マンションのオーバーローン売却で詳しく解説しています。

具体例

残債2,800万円の家を2,500万円で売る場合

  • 旧居の住宅ローン残債:2,800万円
  • 旧居の売却額:2,500万円、売却諸費用:100万円と仮定
  • → 2,500万円 − 2,800万円 − 100万円 = 400万円の不足
  • → 新居が3,500万円なら、買い替えローンの借入額は 3,500万円 + 400万円 = 3,900万円(新居側の諸費用は別)

不足額400万円を自己資金で払えれば、新居は3,500万円の通常の住宅ローンで済みます。上乗せする額が大きいほど審査は厳しくなります。

この項目のまとめ
  • 残債と売却見込額をそろえて「差額」を出すのが出発点
  • アンダーローンなら通常の住宅ローン、オーバーローンなら自己資金か買い替えローン
  • 査定額は複数社で確認し、高すぎる見込みで計画を立てない

売り先行と買い先行で使うローンが変わる

結論

旧居を先に売る「売り先行」は資金計画が確定しやすく、新居を先に買う「買い先行」は物件選びに余裕がある代わりにつなぎ融資かダブルローンが必要になります。買い替えローンを使うなら売却と購入の決済を同じ日にそろえます。

住み替えには、先に売却活動を行う「売り先行」と、先に購入活動を行う「買い先行」の2つの進め方があります。どちらを選ぶかで、必要なローンと抱えるリスクが変わります。

売り先行:資金計画が確定してから新居を探す

売り先行では、旧居の売却額が決まってから新居を探すため、使える予算がはっきりした状態で購入できます。残債の不足がいくらになるかも確定するので、買い替えローンの借入額も正確に申し込めます。

弱点は、旧居の引渡しまでに新居が見つからないと、仮住まいが必要になることです。引越しが2回になり、賃貸の初期費用や家賃がかかります。買主と相談して引渡し日を後ろにずらせるかどうかも、売却の契約時に確認しておきます。

売り先行のメリット

  • 売却額が確定してから予算を決められる
  • 二重のローン返済が起きにくい
  • 空室ではなく住みながら売却活動ができる

売り先行のデメリット

  • 新居が決まらないと仮住まいが必要
  • 引越しが2回になることがある
  • 新居探しに期限ができ、妥協しやすい

買い先行:つなぎ融資かダブルローンが必要になる

買い先行では、新居の代金を払う時点で旧居の売却代金がまだ入っていません。旧居のローンを残したまま新居のローンを組めばダブルローン、新居の代金を短期間借りて旧居の売却後に返すならつなぎ融資を使うことになります。

どちらも旧居が売れるまでの期間が長いほど負担が増える点は同じです。買い先行を選ぶなら、旧居をいつまでにいくらで売るかの期限を決め、期限を過ぎたら価格を見直す、買取に切り替えるといった撤退ラインを最初に決めておきます。

具体例

ダブルローンが6か月続いた場合の追加負担

  • 旧居の住宅ローンの返済:月9万円
  • 新居を先に購入し、旧居が売れるまで6か月かかった
  • → 9万円 × 6か月 = 54万円が新居のローン返済とは別に出ていく

このほか、空き家になった旧居の固定資産税や管理費もかかり続けます。売却が1か月延びるごとに負担が積み上がる点を前提に計画します。

買い替えローンを使うなら決済日をそろえる

買い替えローンは、旧居の売却代金と新しい借入れで旧居のローンを完済し、同時に新居の代金を支払う仕組みです。そのため旧居の売却決済と新居の購入決済を同じ日に行うのが一般的な形になります。

  1. 旧居の売買契約売却額と引渡し日が確定し、不足額がわかる
  2. 新居の売買契約・ローン申込み確定した不足額を上乗せして申し込む
  3. ローンの承認承認額で売却・購入の両方の決済日を調整
  4. 同日決済旧居の完済・抵当権抹消と新居の代金支払いを同じ日に行う
図:買い替えローンを使う住み替えの時系列(売り先行の例)

旧居の買主側の住宅ローンの承認が遅れると、こちらの決済日もずれます。売却と購入を別々の会社に任せると日程調整の連絡が増えるため、両方の進み具合をまとめて把握できる体制にしておくと安全です。

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買い替えローンの審査で見られる点と注意点

結論

買い替えローンは新居の価値以上を借りるため、通常の住宅ローンより審査が厳しくなりがちです。年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)と、旧居の売却額の確実さが特に重要です。

買い替えローンは、全員が必ず組めるローンではありません。銀行の審査に通らなければ、希望していても使えないため、申込み前に自分の数字で通りそうかを確認しておくことが大切です。

返済負担率は「すべての借入れ」で計算される

返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合です。たとえば【フラット35】では、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という基準があり、フラット35以外の借入れも合わせた年間返済額で判定されます。民間の金融機関もそれぞれ独自の基準を設けています。

ダブルローンで旧居のローンが残ると、その返済も計算に入ります。旧居を売って1本にまとめる買い替えローンなら、旧居分は完済されて新居分の返済だけで計算されるため、同じ人でも数字が大きく変わります。

具体例

年収600万円の人の返済負担率(金利1.5%・35年・元利均等で試算)

  • 新居3,500万円を通常の住宅ローンで借りる:年間返済 約129万円 → 返済負担率 約21.4%
  • 不足額400万円を上乗せした買い替えローン3,900万円:年間返済 約143万円 → 約23.9%
  • 旧居のローン(月9万円=年108万円)を残したダブルローン:約129万円 + 108万円 = 約237万円 → 約39.4%

買い替えローンなら35%以内に収まっても、ダブルローンでは超えてしまう計算です。金利や期間は仮定で、実際の審査基準は金融機関ごとに異なります。

新居の価値を上回る借入れになる

買い替えローンでは、担保になる新居の価値より借入額が大きくなります。金融機関から見ると回収できないリスクが高い融資なので、上乗せできる額に上限があったり、金利が通常の住宅ローンより高めに設定されたりすることがあります。

上乗せした残債も新居のローンに含まれて返済期間いっぱい利息がかかります。上乗せ額が数百万円でも、総返済額で見ると差は大きくなるため、自己資金で一部でも返せるなら借入額を減らす方向で検討します。

注意

買い替えローンは旧居の売却額を前提に組み立てるため、売却額が想定より下がると不足額が増え、承認額を超えてしまうことがあります。旧居の売買契約で売却額を確定させてから申し込む流れにしておくと、このずれを防げます。

申込み前に確認しておくこと

同じ「住み替えローン」でも、上乗せできる上限、金利、旧居の売買契約の締結が申込み条件になっているかなど、条件は金融機関ごとに違います。次の点を事前に確認しておくと、審査の途中で計画が崩れにくくなります。

  • 買い替えローン(住み替えローン)を取り扱っているか
  • 上乗せできる残債の上限額と、金利の上乗せ幅
  • 旧居の売買契約が済んでいることが申込みの条件か
  • 同日決済に対応できるか、つなぎ融資の取り扱いがあるか
  • 今の住宅ローンの一括返済手数料と、抵当権抹消の手続きの流れ

住宅ローン控除と旧居売却の税金の特例の関係

結論

旧居の売却で利益が出て3,000万円特別控除などを使うと、新居の住宅ローン控除は受けられません。対象期間は新居に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間なので、どちらが得かを先に試算します。売却損の特例は併用できます。

買い替えでは「旧居を売ったときの税金」と「新居のローンの控除」が同時に動きます。どちらも確定申告で手続きする制度で、組み合わせを間違えると、あとから控除が使えなかったと分かることがあります。

新居で住宅ローン控除を受けるための主な要件

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン等を利用してマイホームを取得し、令和4年1月1日から令和12年12月31日までの間に住み始めた場合に、年末残高等の0.7%を所得税額から控除できる制度です。主な要件は次のとおりです(国税庁 No.1211-1)。

  • 取得の日から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいる
  • 床面積が50平方メートル以上(一定の場合は40平方メートル以上)
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
  • 10年以上にわたって分割して返済する借入金である

控除期間は住宅の種類と入居時期によって異なり、中古住宅のうち認定住宅等以外は10年です(国税庁 No.1211-3)。中古住宅は昭和57年1月1日以後に建築されたものなどが対象で、古い家を選ぶ場合の条件は旧耐震基準の家の売却と住宅ローン控除の条件でも解説しています。

なお、控除の対象は「新築等のための借入金」と定められています。買い替えローンで上乗せした旧居の残債部分が同じ扱いになるとは限らないため、上乗せがある場合は確定申告の前に税務署で確認してください。

3,000万円特別控除とはどちらか一方しか使えない

マイホームを売って利益が出たときは、一定の要件で譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(国税庁 No.3302)。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが要件です。

一方で住宅ローン控除には、居住年およびその前2年・その後3年の計6年間に、3,000万円特別控除や10年超所有の軽減税率の特例、特定の居住用財産の買換え特例などを受けていないことという要件があります。新居に住んだ後に旧居を売る買い先行でも、この6年間に入れば住宅ローン控除が使えなくなります。

具体例

旧居の売却益1,500万円、新居の住宅ローン2,000万円の場合(所有期間5年超・10年以下)

  • 3,000万円特別控除を使う:売却益1,500万円がすべて控除され、譲渡所得の税金は 0円
  • 使わない場合の税金:1,500万円 × 20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)= 約305万円
  • 住宅ローン控除(中古・認定住宅等以外):年末残高2,000万円 × 0.7% = 1年目14万円。10年間でも最大140万円で、残高が減る分さらに少なくなる

この例では3,000万円特別控除を選ぶほうが有利です。売却益が小さいときは逆転することもあるため、両方の金額を並べて比べます。

所有期間の判定は売った年の1月1日時点で行います。所有期間5年以下の短期譲渡所得になると税率が大きく上がるので、取得から日が浅い家を売る場合は短期譲渡所得は何年まで?もあわせて確認してください。

売却損が出たときの特例は住宅ローン控除と併用できる

旧居を買ったときより安く売って損失が出た場合は、一定の要件でその損失を給与所得などと損益通算し、引ききれない分を翌年以後3年間繰り越せる特例があります。新居を買い換えた場合の特例(国税庁 No.3370)は令和9年12月31日までの譲渡が対象で、住宅借入金等特別控除と併用できます。

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特例 使う場面 主な要件 住宅ローン控除との関係
3,000万円特別控除 旧居の売却で利益が出た 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売る、親子・夫婦など特別関係者への売却でない 居住年と前2年・後3年に使うと控除不可
軽減税率の特例 10年超所有の旧居で利益が出た 売った年の1月1日に家屋・敷地とも所有期間10年超 同上(3,000万円控除とは重ねて使える)
買換えの譲渡損失の特例(No.3370) 旧居の売却で損失が出て新居を買う 所有期間5年超、新居は床面積50平方メートル以上、新居に償還期間10年以上のローン 併用できる
特定のマイホームの譲渡損失の特例(No.3390) 残債を下回る価格で売って損失が出た 所有期間5年超、売買契約日の前日に償還期間10年以上のローン残高がある 新居を買わなくても使える

※要件は主なものです。繰越控除は合計所得金額が3,000万円を超える年は使えません。詳しくは国税庁の各タックスアンサーで確認してください。

残債を下回る価格で売る場合の特例(国税庁 No.3390)は、売買契約日の前日の住宅ローン残高から売却価額を差し引いた額が損益通算の限度です。オーバーローンでの買い替えでは、どちらの特例が使えるかも確認しておきます。

結論

旧居で利益が出るなら「3,000万円特別控除か住宅ローン控除か」を試算して選ぶ。損失が出るなら譲渡損失の特例と住宅ローン控除を両方使える。売る前に旧居の取得費と売却見込額から、利益か損失かを確かめておきます。

買い替えローンが組めない・旧居が売れないときの選択肢

結論

審査が通らない、旧居がなかなか売れないときは、不動産会社による買取で売却額と引渡し日を先に確定させる方法があります。仲介より価格は下がりやすい一方、資金計画と決済日を固められます。

買い替えでいちばん困るのは「旧居がいつ、いくらで売れるか分からない」状態です。この不確かさが、買い替えローンの借入額、つなぎ融資の期間、ダブルローンの長さのすべてに響きます。ここを先に確定させる手段を知っておくと、計画の立て方が変わります。

買取で売却額と引渡し日を先に確定させる

買取は、不動産会社が買主になって旧居を直接買い取る方法です。仲介のように一般の買主を探す期間がないため、売却額と引渡し日を早い段階で決められます。売却額が確定すれば、不足額も確定し、買い替えローンの申込額や新居の予算をぶれなく組めます。

買取価格は仲介で売る場合より低くなるのが一般的です。その差額と、仲介で売れるまで待つ間のダブルローン・つなぎ融資の利息、仮住まいの費用を並べて比べると、どちらが手元に多く残るかを判断できます。

  1. 仲介と買取の両方で査定を取る同じ家について、仲介での売却見込額と買取価格を並べて確認します。
  2. それぞれの場合の不足額を計算する売却額−残債−諸費用を2通り出し、買い替えローンの借入額を比べます。
  3. 待つ間のコストを足して比べる二重返済・つなぎ融資の利息・仮住まい費用を仲介側に加えて比較します。
  4. 期限付きで仲介、売れなければ買取に切り替える一定期間は仲介で売り出し、期限を過ぎたら買取に切り替える方法もあります。

ダブルローン期間を短くする段取り

買い先行でダブルローンやつなぎ融資を使う場合は、新居を決める前から旧居の売却準備を始めておくと、二重負担の期間を短くできます。査定の取得、必要書類の準備、売り出し価格の検討までを先に済ませておけば、新居が決まった時点ですぐに売り出せます。

売却損が出そうな場合は、税金の特例を使うための書類(旧居の購入時の売買契約書や住宅ローンの残高証明書など)も早めに確認しておきます。取得費が分からないと税額の計算自体が難しくなるため、書類が見つからない場合の考え方は取得費がわからないときの5%ルールも参考にしてください。

POINT

買い替えの資金計画は「旧居の確定」から逆算する

  • 売却額が決まれば、不足額・借入額・新居の予算が連動して決まる
  • 売れるまでの期間が長いほど、二重返済やつなぎ融資の利息が増える
  • 買取は価格が下がる代わりに、時期と金額の不確かさを消せる

よくある質問

住宅ローンが残っていても家を売って買い替えられますか?

買い替えられます。売却代金で残債を完済できれば通常の住宅ローンで新居を購入できます。売却代金だけでは足りない場合は、不足分を自己資金で払うか、新居のローンに上乗せする買い替えローンを使います。まず残債と売却見込額を確認してください。

つなぎ融資とダブルローンはどう違いますか?

つなぎ融資は、新居の代金を先に払う必要があるときに短期間だけ借りて、旧居の売却代金で返す融資です。ダブルローンは、旧居のローンを残したまま新居でも住宅ローンを組み、2本を並行して返す状態を指します。どちらも旧居が売れるまで負担が続きます。

旧居の売却で3,000万円特別控除を使うと住宅ローン控除はどうなりますか?

新居に住んだ年とその前2年・後3年の計6年間に3,000万円特別控除などの特例を受けると、新居の住宅ローン控除は受けられません。

売却益が大きい場合は3,000万円特別控除のほうが有利なことが多いため、両方の金額を試算して選びます。

旧居を売って損が出た場合も住宅ローン控除は使えますか?

使えます。マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、住宅借入金等特別控除と併用できると国税庁が示しています。所有期間5年超などの要件があり、令和9年12月31日までの譲渡が対象です。

この記事のまとめ

  • 買い替えローンは新居の購入資金に旧居の残債の不足分を上乗せする住宅ローン。つなぎ融資・ダブルローンとは別物
  • 使うローンは「売却見込額−残債−諸費用」で決まる。マイナスなら自己資金か買い替えローン
  • 売り先行は資金計画が確定しやすく、買い先行は二重負担の期間に注意。買い替えローンは同日決済が前提
  • 審査では全借入れを合わせた返済負担率が見られ、ダブルローンだと基準を超えやすい
  • 利益が出る売却は3,000万円特別控除と住宅ローン控除のどちらかを選び、損失が出る売却は特例と併用できる
  • 売却時期と価格が読めないときは、買取で旧居を先に確定させる方法もある

買い替えの資金計画は、旧居がいくらで売れるかを知るところから始まります。まずは今の家の現在の価格を確認してください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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