離婚で家の名義変更をする手順|登録免許税2%とローン・税金の注意点

離婚に伴う家の名義変更(財産分与の登記)とローン・税金の注意点を解説する記事のイメージ

離婚の話し合いで「家はどちらが持つか」が決まっても、そこで手続きが終わるわけではありません。登記の名義を移さないと、登記記録上は元の名義人の家のまま残ります。住宅ローンが残っていれば、銀行との調整も必要です。

結論から言うと、離婚での家の名義変更は財産分与を原因とする所有権移転登記で行い、登録免許税は固定資産税評価額の2%です。ただし登記の名義を変えても、住宅ローンの名義は自動では変わりません。ローンが残る家は、登記より先に銀行への相談が必要です。

税金も見落としやすいポイントです。贈与税は原則かかりませんが、家を渡す側に譲渡所得税、もらう側に不動産取得税がかかるケースがあります。この記事で順番に確認してください。

この記事を読むとわかること

  • 財産分与による名義変更登記の流れと必要書類
  • ローン名義と登記名義の違いと、銀行に相談すべき理由
  • 登録免許税2%など名義変更にかかる費用の計算方法
  • 贈与税・不動産取得税・譲渡所得税がかかるケース
  • 名義変更より売却して分けたほうがよい場面

この記事の結論

  1. 離婚で家の名義を移すときは、財産分与を原因とする所有権移転登記を法務局に申請します。財産分与協議書が登記原因証明情報になります。
  2. 登記名義を変えてもローンの債務者と抵当権はそのままです。ローンが残る家は、完済・借り換え・売却のどれにするかを先に銀行と相談します。
  3. 登録免許税は固定資産課税台帳の価格の1,000分の20(2%)。評価額2,000万円なら40万円です。
  4. 贈与税は原則かかりませんが、多すぎる分与や税逃れの離婚は課税されます。相手名義の家をもらうと不動産取得税がかかることがあります。
  5. 家庭裁判所に財産分与を申し立てられる期限は、2026年4月1日以降の離婚なら離婚の翌日から5年(それより前の離婚は2年)です。

離婚で家の名義変更をする方法|財産分与による所有権移転登記

結論

離婚で家の名義を移すときは、財産分与の合意をもとに「財産分与」を原因とする所有権移転登記を法務局に申請します。

家の名義は、法務局の登記記録に記録された所有者のことです。夫婦で「家は妻が持つ」と決めても、登記を申請しない限り、登記記録上の所有者は元の名義人のまま変わりません。

離婚に伴う名義変更では、売買や贈与ではなく、民法の財産分与の制度を使うのが一般的です。法務局が公開している登記申請書の記載例も、離婚による財産分与で取得した場合を前提にしています。

財産分与とは何か

裁判所は、財産分与を夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、離婚する際または離婚後に分けることと説明しています(裁判所 財産分与請求調停)。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決めることもできます。

財産分与には、婚姻中の財産を分け合う「清算」のほか、離婚後の生活を支える「扶養」、離婚に対する「慰謝料」の意味を含む場合があります。この区別は、後で説明する不動産取得税の扱いに直結します。

用語の補足:所有権移転登記

不動産の所有者が変わったことを、法務局の登記記録に反映させる手続きです。名義を移す側を「登記義務者」、受け取る側を「登記権利者」と呼びます。

名義変更登記の流れ

手続きは、夫婦の合意を書面にするところから始まります。ローンが残っている場合は、STEP2の銀行相談を飛ばさないことが大切です。

  1. 財産分与の内容を決めて書面にするどの不動産をどちらが取得するかを、財産分与協議書や離婚協議書に明記します。調停や審判で決まった場合はその調書などを使います。
  2. ローンが残っていれば銀行に相談する完済・借り換え・売却など、ローンをどう扱うかを先に決めます。詳しくは次の章で説明します。
  3. 必要書類をそろえる印鑑証明書、住民票の写し、登記識別情報(権利証)、固定資産の評価額がわかる書類などを準備します。
  4. 法務局に登記を申請する不動産の所在地を管轄する法務局に申請し、登録免許税を納めます。司法書士に依頼することもできます。
  5. 登記完了後、税金の手続きを確認する渡した側は譲渡所得の申告が必要か、受け取った側は不動産取得税がかかるかを確認します。

必要書類と、原因日の決まり方

法務局の記載例では、財産分与による所有権移転登記の添付情報として次の書類が挙げられています(法務局 登記申請書の記載例(財産分与))。

  • 登記識別情報(または登記済証=権利証):家を渡す側のもの
  • 登記原因証明情報:財産分与協議書など、日付・当事者・対象物件がわかる書面
  • 印鑑証明書:家を渡す側のもので、作成から3か月以内
  • 住所証明情報:受け取る側の住民票の写し(申請書に住民票コードを書けば省略可)
  • 代理権限証明情報:一方が代理で申請する場合や、司法書士に頼む場合の委任状
  • 国籍等を証する情報:本籍地が記載された住民票の写しや戸籍の附票の写しなど

登記の原因日は、財産分与の協議が成立した日です。ただし協議離婚の届出より前に財産分与の協議が成立した場合は、協議離婚の届出の日が原因日になり、離婚の記載のある戸籍の証明書が必要になります。

注意

家を渡す側の住所や氏名が登記記録と違っている場合(引っ越した、姓が変わったなど)は、先にその変更登記が必要です。登記記録の内容と申請書の記載が一致していないと、名義変更の登記は進みません。

この項目のまとめ
  • 名義変更は「財産分与」を原因とする所有権移転登記で行う
  • 財産分与協議書が登記原因証明情報になる
  • 離婚届の前に合意した場合、原因日は離婚届の日になる

ローン名義と登記名義は別物|名義を変えてもローンは移らない

結論

登記名義は「家の持ち主」、ローン名義は「お金を返す人」で、別々の契約と記録です。家の名義を変えても、ローンの返済義務と抵当権はそのまま残ります。

離婚の相談でいちばん多い誤解が、「家の名義を妻に変えれば、ローンも妻に移る」というものです。実際には、ローンは夫婦と銀行との契約で、登記は法務局の記録なので、片方を変えてももう片方は動きません。

登記名義・ローン名義・抵当権の関係

3つの「名義」が何を意味し、財産分与による名義変更の登記で何が変わって何が変わらないのかを、表で整理します。

項目 意味 財産分与の登記で変わるか
登記名義(所有者) 家の持ち主として登記記録に載っている人 変わる
ローン名義(債務者) 銀行にお金を返す義務を負う人 変わらない
抵当権 返済が滞ったときに銀行が家を競売にかけられる権利 残る(抹消登記は別手続き)

※抵当権の抹消は、ローン完済後に別途登記を申請して行います。

たとえば夫名義のローンが残る家を、財産分与で妻の名義にしたとします。この場合、家の持ち主は妻、返済するのは夫、担保に取っているのは銀行という状態になります。夫の返済が止まれば、妻が住んでいる家でも抵当権が実行されるおそれがあります。

連帯債務・ペアローン・連帯保証のとき

夫婦で家を買った場合、ローンの組み方によって離婚後の責任が変わります。どの形でも共通するのは、離婚届を出しただけでは、ローン契約上の立場は何も変わらないことです。

  • 連帯債務:夫婦が各自独立して借入全部の返済責任を負う。離婚しても家を出た側の責任は残る
  • ペアローン:夫婦がそれぞれ別のローンを組む。相手のローンの連帯保証人や担保提供者を兼ねている場合もある
  • 連帯保証:一方が借主、もう一方が借主と連帯して返済義務を負う保証人。借主が払わなければ直ちに請求される

家を出る側がローンの責任から外れたい場合は、残る側が単独で借り換えるか、完済するか、売却して返済するしかないのが通常です。銀行が債務者の変更に応じるかどうかは、契約内容と審査次第です。

POINT

「名義変更」と言うとき、どちらの話かを分ける

  • 登記名義の変更は、夫婦の合意と法務局への申請でできる
  • ローン名義の変更は、銀行の審査と承諾がなければできない

住宅ローンが残っているなら、登記より先に銀行へ相談

結論

登記申請そのものに銀行の承諾書は求められていませんが、ローン契約には担保物件の扱いについての取り決めがあります。名義を移す前に、契約書の確認と銀行への相談を済ませるのが安全です。

ローンが残っている家の名義変更は、手続きの順番を間違えるとトラブルになりやすい場面です。夫婦の間で話がまとまっても、銀行は離婚協議の当事者ではないため、合意の内容に拘束されません。

登記はできても、契約上の問題は残る

法務局の記載例の添付情報には、金融機関の承諾書は含まれていません。つまり登記手続きだけを見れば、ローンが残っていても名義変更の申請はできるということです。

一方、住宅ローンを組むときに交わす金銭消費貸借契約や抵当権設定契約には、担保物件の維持・管理や、期限の利益(分割で返せる権利)を失う事由などが定められています。無断で名義を移すと、契約違反を問われて一括返済を求められるおそれがあるため、条項を確認してから動いてください。

用語の補足:期限の利益

決められた期日までは返済を待ってもらえる、借主側の権利です。これを失うと、残っているローンを一括で返すよう求められます。

ローンが残る家の4つの選択肢

ローンが残る家を離婚後どうするかは、主に次の4つから選びます。どれを選ぶかで、名義変更のタイミングと費用が変わります。

横にスクロールできます

選択肢 内容 名義変更のタイミング 注意点
完済してから移す 預貯金や財産分与の清算金でローンを返し、抵当権を抹消する 完済・抵当権抹消と同時 まとまった資金が必要
残る側が借り換える 家に住み続ける側が自分名義のローンを組み、元のローンを返す 借り換えの実行と同時 残る側の収入で審査に通る必要がある
ローンを残したまま住む 出ていく側が返済を続け、残る側が住む 完済まで登記を移さない取り決めが多い 返済が止まると家を失うおそれ。取り決めを公正証書などに残す
売却して分ける 家を売ってローンを返し、残ったお金を分ける 名義変更は不要 売却額が残債を下回ると自己資金か任意売却が必要

※どの方法が取れるかは、ローン契約の内容と金融機関の判断によります。

注意

「ローンを残したまま住む」を選ぶ場合は、誰がいつまで返済するか、完済後にいつ名義を移すか、返済が止まったらどうするかを、離婚協議書に具体的に書いておきましょう。口約束だけでは、後から争いになったときに証明できません。

この項目のまとめ
  • 登記に銀行の承諾書は不要だが、ローン契約の条項は別に守る必要がある
  • 完済・借り換え・ローンを残す・売却の4択から先に決める

名義変更の費用|登録免許税は評価額の2%

結論

財産分与による名義変更の登録免許税は、固定資産課税台帳の価格(評価額)×1,000分の20です。売買のような軽減税率はありません。

名義変更にかかる費用の中心は、国に納める登録免許税です。ほかに、ローン完済後の抵当権抹消、書類の取得費用、司法書士に頼む場合の報酬がかかります。

登録免許税の計算方法

法務局は、贈与や財産分与など「その他の原因」による所有権移転登記の税率を1,000分の20としています(法務局 登録免許税の計算)。相続の1,000分の4や、土地の売買の軽減税率1,000分の15とは違うので注意してください。

課税標準は、市町村の固定資産課税台帳の価格です。毎年届く固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」の欄の金額で、「固定資産税課税標準額」ではありません。1,000円未満は切り捨て、税額の100円未満も切り捨てます。

具体例

土地の評価額1,500万円・建物の評価額500万円の家を財産分与で移す場合

  • 課税標準:1,500万円+500万円=2,000万円
  • 登録免許税:2,000万円×20/1000=40万円
  • ローン完済後に抵当権を抹消する場合:土地1個・建物1個×1,000円=2,000円

法務局の記載例でも、課税価格2,000万円に対して登録免許税40万円と記載されています。評価額は購入価格より低いことが多いので、まず明細書で実際の金額を確認してください。

登録免許税以外にかかる費用

登録免許税以外の費用もまとめておきます。司法書士の報酬は事務所ごとに異なるため、依頼前に見積もりを取りましょう。

費用 金額・計算方法
所有権移転登記の登録免許税 評価額×2%
抵当権抹消の登録免許税 不動産1個につき1,000円
住所・氏名の変更登記 不動産1個につき1,000円
財産分与請求調停の申立て 収入印紙1,200円分+連絡用の郵便切手
司法書士報酬・書類取得費 依頼先・取得通数により異なる

※調停費用は話し合いで合意できず家庭裁判所に申し立てる場合のみ。郵便切手の額は裁判所ごとに異なります。

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不動産取得税・贈与税・譲渡所得税がかかるケース

結論

財産分与でもらった家に贈与税は原則かかりません。ただし相手名義の家をもらうと不動産取得税、家を渡した側には譲渡所得税がかかることがあります。

離婚の名義変更では、誰にどの税金がかかる可能性があるのかを、渡す側ともらう側に分けて整理しておくと混乱しません。

税金 納める人 かかるケース
登録免許税 登記を申請する当事者(どちらが負担するかは取り決め次第) 名義変更の登記をするとき必ず
贈与税 もらう側 分与が多すぎる部分、税逃れの離婚
不動産取得税 もらう側 扶養・慰謝料目的の分与。相手名義の家は課税されやすい
譲渡所得税 渡す側 分与時の時価が取得費などを上回るとき

贈与税は原則かからない

国税庁は、離婚によって相手から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありませんとしています(国税庁 No.4414 離婚して財産をもらったとき)。夫婦の財産関係の清算や、離婚後の生活保障のための財産分与と考えられるためです。

  • 婚姻中の夫婦の協力で得た財産などを考慮しても、分与された財産が多すぎる場合は、その多すぎる部分に贈与税がかかる
  • 贈与税や相続税を免れるための離婚と認められる場合は、もらった財産すべてに贈与税がかかる

不動産取得税は分与の「目的」で決まる

不動産取得税は都道府県の税金で、贈与税とは別に判断されます。東京都の審査会答申は、裁判例を引いて、婚姻中の財産を清算する趣旨の財産分与で、夫婦の共有と推定される財産なら課税原因に当たらないとしています。

一方で、慰謝料や将来の扶養が目的の財産分与は課税対象になります。そして同じ答申は、夫婦の一方が婚姻中に自分の名義で取得した財産を分与したときは、特段の事情がない限り慰謝料・扶養目的とみなすという裁判例の考え方を採り、元夫の持分を取得した元妻への課税を認めています(東京都行政不服審査会 答申)。

つまり、ローンを2人で返してきた家でも、登記が夫の単独名義だった場合、もらった側に不動産取得税がかかる可能性があります。税率は、2027年3月31日までに取得した土地と住宅が3%で、宅地は評価額の2分の1が課税標準になります(千葉県 不動産取得税の税率)。

具体例

土地の評価額1,500万円・建物の評価額500万円で、不動産取得税が課税された場合

  • 土地:1,500万円×1/2×3%=22.5万円
  • 建物:500万円×3%=15万円(中古住宅の控除を受けられれば減る)
  • → 合計で最大37.5万円

自分が住むための中古住宅で床面積などの要件を満たせば、建物の価格から新築時期に応じた控除額を差し引けます。課税されるかどうかを含め、不動産所在地の都道府県税事務所に確認してください。

家を渡す側には譲渡所得税がかかることがある

国税庁は、財産分与で土地や建物を渡した場合、分与した時の時価が譲渡所得の収入金額になるとしています(国税庁 No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき)。お金を受け取っていなくても、時価で売ったのと同じように扱われる点に注意が必要です。

渡した家がマイホームなら、譲渡所得から最高3,000万円を控除する特例を検討できます。ただし国税庁は、この特例の要件に親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないことを挙げています(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。

離婚が成立する前の分与だと夫婦間の譲渡になるため、分与の時期は税理士や税務署に確認してから決めましょう。

具体例

分与時の時価3,000万円、取得費(減価償却後)2,500万円の家を渡した場合

  • 譲渡所得:3,000万円−2,500万円=500万円
  • 所有期間5年超の長期譲渡所得なら税率20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)
  • → 特例を使えない場合の税額は約101.6万円
  • → マイホームの3,000万円特例を使えれば0円

特例の要件を満たすかどうかで、税額が100万円以上変わる例です。特例を使う場合も確定申告が必要です。

もらった家を将来売るときの注意

財産分与で取得した家は、分与を受けた日に、その時の時価で取得したものとして扱われます。長期か短期かの判定も、財産分与を受けた日を基準にします。

そのため、もとの購入から20年経っている家でも、売った年の1月1日時点で分与から5年以下なら短期譲渡所得になり、税率は39.63%(所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%)です。売却を考えている場合は、短期譲渡所得の判定日と税率も確認しておいてください。

この項目のまとめ
  • 贈与税は原則なし。多すぎる分与と税逃れの離婚は例外
  • 相手の単独名義だった家は、不動産取得税がかかる可能性がある
  • 渡す側は時価で譲渡したとみなされ、譲渡所得税の対象になりうる

財産分与の期限と、名義変更を放置するリスク

結論

家庭裁判所に財産分与を申し立てられるのは、2026年4月1日以降の離婚なら離婚の翌日から5年、それより前の離婚なら2年までです。名義変更は合意後すぐに済ませましょう。

「とりあえず住めているから」と名義変更を後回しにすると、期限切れや相手側の事情の変化で手続きが難しくなることがあります。期限とリスクを確認しておきましょう。

家庭裁判所に申し立てられるのは離婚から5年(または2年)

裁判所は、財産分与請求調停について、離婚した日の翌日から起算して5年を経過すると申し立てられないとしています。ただし令和8年(2026年)4月1日より前に離婚した場合は2年です。

  1. 離婚成立財産分与の協議ができるのはここから(離婚前の合意も可)
  2. 離婚の翌日から2年2026年3月31日以前に離婚した場合の申立て期限
  3. 離婚の翌日から5年2026年4月1日以降に離婚した場合の申立て期限
図:家庭裁判所に財産分与を申し立てられる期限

期限を過ぎると、相手が話し合いに応じなくなったときに家庭裁判所の調停や審判を使えなくなります。家の分け方は離婚時に書面で決めておくのが確実です。

名義を移さないまま放置すると起きること

財産分与で家をもらう約束をしても、登記が相手の名義のままだと、次のような事態に巻き込まれるおそれがあります。

  • 名義人である元配偶者が、家を売ったり担保に入れたりしてしまう
  • 元配偶者の借金で、名義人の財産として家が差し押さえられる
  • 元配偶者が亡くなり、その相続人(再婚相手や子)との話し合いが必要になる
  • 元配偶者と連絡が取れなくなり、登記に必要な実印・印鑑証明書がそろわない

夫婦の共有名義のまま離婚した場合も同じです。売却や建替えには共有者全員の同意が必要になり、話がまとまらないと共有物分割請求で裁判所に分け方を決めてもらうことになります。

旧姓に戻ったときの氏名変更登記

離婚で姓が変わった人がすでに家の名義人(共有者)になっている場合は、氏名の変更登記も必要です。法務省は、2026年4月1日から、氏名・住所の変更日から2年以内の変更登記が義務になったと案内しています(法務省 住所等変更登記の義務化)。

法務省の案内では、所有者が「検索用情報の申出」をしておけば、登記官が住基ネットの情報をもとに職権で変更登記をする「スマート変更登記」の対象になります。財産分与の登記で新たに名義人になる人も、申請書に氏名ふりがなや生年月日、メールアドレスを記載します。

名義変更より「売って分ける」ほうがよいケースと買取

結論

どちらも住み続けない、ローンを引き継げない、評価額を巡って揉めている場合は、家を売って現金で分けるほうが早く確実なことがあります。

名義変更は「どちらかが家を持ち続ける」ための手続きです。どちらも住まない家を名義変更してから売ると、登録免許税や不動産取得税を払ったうえで、もう一度売却の手続きをすることになります。

売却して現金で分けるメリット・デメリット

売却して代金で分ける方法は、家の価値を「実際に売れた金額」で確定できるのが大きな特徴です。評価額の水準で揉めにくくなります。

メリット

  • 現金で分けるので、分け方の公平さを数字で示しやすい
  • ローンを完済でき、家を出る側も返済義務から外れられる
  • 名義変更の登録免許税や、もらう側の不動産取得税の心配がない

デメリット

  • 住み続けたい家族(子どもなど)が引っ越す必要がある
  • 売却益が出れば、名義人に譲渡所得税がかかることがある
  • 仲介で売る場合、買主が見つかるまで時期が読みにくい

ローンが売却額を上回るとき

売却額でローンを返しきれない状態(オーバーローン)だと、差額を自己資金で埋めない限り抵当権を抹消できず、通常の売却はできません。この場合は、銀行の同意を得て売る任意売却を検討することになります。

任意売却は、返済が滞ってから競売になる前に行う手続きで、期限や残債の扱いに独自のルールがあります。流れは任意売却の流れと期限で解説しています。まず家がいくらで売れるかを知ることが、どの選択肢を取るかの出発点です。

期限があるなら買取も比較する

離婚の話し合いと並行して売却を進める場合、「いつ現金化できるか」が分与の条件に関わります。仲介は高く売れる可能性がある一方、買主が見つかるまで時期が確定しません。

不動産会社が直接買い取る買取は、価格が仲介より低くなりやすい代わりに、売却時期を決めやすく、内覧対応も少なく済みます。財産分与の期限や引っ越しの予定が決まっているなら、仲介と買取の両方の査定額を並べて比べましょう。

結論

名義変更・売却のどちらを選ぶにしても、判断の前提は家の現在の価格とローン残高の差です。名義を移す前に、まず査定額を確認してください。

よくある質問

離婚届を出す前に家の名義変更をしてもいいですか?

財産分与の協議は離婚届の前でもできますが、その場合の登記の原因日は協議離婚の届出の日になり、離婚の記載のある戸籍の証明書が必要です。また、夫婦間の譲渡はマイホームの3,000万円特例の要件を満たさないため、分与の時期は税務署や税理士に確認してください。

住宅ローンが残っていても名義変更の登記はできますか?

法務局の記載例の添付情報に金融機関の承諾書は含まれておらず、登記の申請自体はできます。

ただしローンの債務者は変わらず、抵当権も残ります。ローン契約の条項に反するおそれがあるため、登記の前に契約書を確認し、金融機関に相談してください。

離婚による名義変更の登録免許税はいくらですか?

財産分与による所有権移転登記の税率は、固定資産課税台帳の価格の1,000分の20(2%)です。土地と建物の評価額が合計2,000万円なら40万円になります。ローン完済後の抵当権抹消は、不動産1個につき1,000円です。

財産分与で家をもらうと贈与税はかかりますか?

原則かかりません。ただし、婚姻中の協力で得た財産などを考慮しても多すぎる部分や、贈与税・相続税を免れるための離婚と認められる場合は課税されます。不動産取得税は贈与税とは別に判断され、相手名義の家をもらうと課税されることがあります。

この記事のまとめ

  • 離婚での家の名義変更は、財産分与を原因とする所有権移転登記で行う
  • 登記名義を変えても、ローンの債務者と抵当権は変わらない
  • ローンが残る家は、完済・借り換え・ローンを残す・売却の4択を銀行と相談してから登記する
  • 登録免許税は評価額の2%。贈与税は原則なしだが、不動産取得税と譲渡所得税は要確認
  • 家庭裁判所への申立て期限は、2026年4月1日以降の離婚なら5年、それより前は2年
  • どちらも住まない家やオーバーローンの家は、売って分ける方法も比べる

名義を移すか売って分けるかを決めるには、家が今いくらで売れるかを知ることが欠かせません。まず現在の価格を確認するところから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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