不動産売却の費用一覧|仲介手数料の計算式・税金・手残りの計算方法

不動産売却でかかる仲介手数料・印紙税・登記費用・譲渡所得税の内訳と手残りの計算を解説する記事のイメージ

家や土地を売ろうと考えたとき、査定額がそのまま手元に入るわけではないことは、多くの方がなんとなく知っています。ただ、実際に「何に・いくら・いつ」払うのかまで把握している方は多くありません。住み替えの資金計画やローン完済の見通しは、この差し引き額で決まります。

結論から言うと、売却費用の中心は仲介手数料・印紙税・登記費用・譲渡所得税の4つです。このうち最も大きいのは多くの場合仲介手数料で、上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額です。譲渡所得税は利益が出たときだけかかります。

この記事では、それぞれの計算方法を公的な情報をもとに整理し、最後に売却価格から手残りを出す手順までまとめます。

この記事を読むとわかること

  • 不動産売却でかかる費用の一覧と、支払うタイミング
  • 仲介手数料の上限の計算式と、800万円以下の物件の特例
  • 売買契約書の印紙税と、抵当権抹消などの登記費用の額
  • 譲渡所得税の計算方法と、経費(譲渡費用)にできるもの
  • 売却価格から手残りを出す4つのステップ

この記事の結論

  1. 仲介手数料の上限は、売買価格400万円超なら「売買価格×3%+6万円」+消費税。3,000万円の物件なら税込105万6,000円が上限です。
  2. 800万円以下の空き家などは、事前の説明と合意があれば30万円(税込33万円)まで受け取れる特例があります。
  3. 売買契約書の印紙税は、2027年3月31日までに作成する契約書なら軽減税率で、1,000万円超5,000万円以下は1万円です。
  4. 抵当権抹消の登録免許税は不動産1個につき1,000円。土地1筆と建物1棟なら2,000円で、別に司法書士報酬がかかります。
  5. 譲渡所得税は利益が出たときだけかかり、税率は所有5年超で20.315%、5年以下で39.63%。申告は翌年2月16日〜3月15日です。

不動産売却の費用一覧|何に・いつ払うのか

結論

ほぼ全員にかかるのは仲介手数料・印紙税で、ローンが残っていれば抵当権抹消の登記費用が加わります。譲渡所得税は利益が出たときだけ、測量費や解体費は物件の状況しだいです。

売却費用は「誰が売っても必ずかかるもの」と「物件や売り方によってかかるもの」に分けると整理しやすくなります。前者は売却価格から機械的に計算でき、後者は見積もりを取るまで金額が決まりません。

まずは全体像を表で確認し、自分に関係する行だけ後のセクションで詳しく読んでください。

必ずかかる費用と、状況によってかかる費用

下の表は、売主が負担する主な費用をまとめたものです。金額が法令で決まっているものと、業者ごとの見積もりで決まるものが混在している点に注意してください。

横にスクロールできます

費用 かかる場面 金額の決まり方 譲渡費用になるか
仲介手数料 仲介会社を通して売買契約が成立したとき 上限は売買価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合) なる
印紙税 紙の売買契約書を作成するとき 契約金額に応じた定額(軽減税率あり) なる(売主負担分)
登録免許税(抵当権抹消・住所変更) ローンが残っている/登記の住所が今と違う 不動産1個につき1,000円 —
司法書士報酬 登記手続きを依頼するとき 事務所ごとの見積もり —
譲渡所得税・住民税 売却で利益(譲渡所得)が出たとき 利益×20.315%(5年超)または39.63%(5年以下) —
測量費 境界が確定していない土地・戸建て 土地の広さや隣地の数による見積もり なる
解体費 建物を取り壊して土地として売るとき 構造・延床面積・アスベストの有無などによる見積もり なる(土地を売るための取壊し)
引越し・クリーニング・修繕 住みながら売る/見栄えを整えるとき 業者の見積もり 原則ならない

※「—」は譲渡費用の例として国税庁が挙げていないもの。個別の判断は税務署または税理士にご確認ください。

支払うタイミングを時系列で確認する

費用は一度にまとめて出ていくわけではありません。測量や解体は売り出し前、税金は売った翌年と、時期が大きく離れているものがあります。売却代金が入る前に払うお金があることも資金計画に入れておきましょう。

  1. 売り出し前測量費・解体費(必要な場合)。売却代金が入る前に支払う
  2. 売買契約契約書の印紙税。仲介手数料の請求権もこの時点で発生
  3. 決済・引渡しローン完済、抵当権抹消・住所変更の登記費用など。仲介手数料は媒介契約で決めた時期に支払う
  4. 翌年2月16日〜3月15日譲渡所得の確定申告と納税(利益が出た場合・特例を使う場合)
図:不動産売却の費用を支払うおもなタイミング
この項目のまとめ
  • 全員にかかるのは仲介手数料と印紙税。ローンがあれば抵当権抹消の費用が加わる
  • 譲渡所得税は翌年の申告時、測量・解体は売り出し前と、支払時期がずれる

仲介手数料の上限計算式|3%+6万円の意味

結論

売買価格(税抜)が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税10%を加えた額です。これは上限であり、実際の額は仲介会社との協議で決まります。

仲介手数料は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通大臣の告示で上限が決められています。上限は「依頼者の一方から受け取れる額」として決められており、売主も買主も、それぞれ自分が依頼した仲介会社に対してこの範囲内で支払います。

用語の補足:媒介報酬

法律上は「媒介報酬」と呼ばれ、一般に言う仲介手数料と同じものです。媒介とは、売主と買主の間に入って契約が成立するようにあっせんすることを指します。

「3%+6万円」は速算式。本来は3段階の料率

上限額は本来、売買価格を3つの価格帯に分け、それぞれに料率をかけて合計します。200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%です。

400万円を超える物件でこの3段階を計算すると、必ず「売買価格×3%+6万円」と同じ結果になります。そのため実務ではこの速算式が使われています。計算に使う売買価格は消費税を含まない金額です。

売買価格(税抜) 上限額の速算式(税抜)
200万円以下 売買価格×5%
200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円
400万円超 売買価格×3%+6万円

※上記に消費税(課税事業者の場合10%)が加わります。

具体例

3,000万円で売れた場合の仲介手数料の上限

  • 3段階で計算:200万円×5%=10万円、200万円×4%=8万円、残り2,600万円×3%=78万円 → 合計96万円
  • 速算式で計算:3,000万円×3%+6万円=96万円(同じ結果)
  • → 消費税10%を加えた上限は105万6,000円

4,000万円なら上限は税込138万6,000円、2,000万円なら税込72万6,000円です。売却価格が決まれば、ほぼ確実に読める費用です。

800万円以下の空き家等は最大33万円の特例

2024年7月1日から、物件価格が800万円以下の宅地建物(低廉な空家等)については、仲介会社が通常の上限を超えて、30万円の1.1倍(税込33万円)まで受け取れるようになりました。安い物件ほど手数料が少なく、仲介会社が扱いにくいという課題に対応した見直しです。

この特例を使うには、媒介契約を結ぶときに報酬額を説明し、依頼者が合意していることが必要です。知らないうちに上乗せされる仕組みではありません。

具体例

500万円の空き家を売る場合

  • 通常の上限:500万円×3%+6万円=21万円(税込23万1,000円)
  • 特例を適用した場合の上限:30万円(税込33万円)
  • → 差額は税込で最大9万9,000円

地方の実家や古い空き家は800万円以下になることも多い価格帯です。媒介契約の前に、特例を適用するかどうかと金額を確認してください。

あくまで上限。支払時期と別料金のルール

告示で決まっているのは上限であり、実際の報酬額は上限の範囲内で仲介会社と依頼者が協議して決めるものです。また、仲介手数料の請求権は売買契約が成立したときに発生します。買い手が見つからず契約に至らなければ、原則として払う必要はありません。

仲介会社は、広告料や案内料などの名目で別に報酬を受け取ることはできません。例外は、依頼者から特別に頼んだ広告の料金や、遠隔地への出張旅費などに限られます。

  • 媒介契約書に報酬額と支払時期が書かれているか
  • 800万円以下の物件で、低廉な空家等の特例を適用する説明を受けたか
  • 契約が解除になった場合の報酬の扱いを確認したか
  • 仲介手数料以外の名目で費用を求められていないか

印紙税|売買契約書の金額で決まる

結論

不動産の売買契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります。2027年3月31日までに作成する契約書は軽減税率が適用され、1,000万円超5,000万円以下なら1万円です。

売買契約書は印紙税法上の課税文書(第1号の1文書)にあたり、記載された契約金額によって税額が決まります。収入印紙を契約書に貼り、消印をして納めるのが一般的です。

軽減税率の一覧(2027年3月31日まで)

2014年4月1日から2027年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書で、記載金額が10万円を超えるものは税率が軽減されています。主な価格帯は次のとおりです(国税庁 No.7108)。

契約金額 印紙税額(軽減後)
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 1万円
5,000万円超1億円以下 3万円
1億円超5億円以下 6万円

※2027年4月1日以降に作成する契約書は、延長されない限り本則の税率になります。最新の情報は国税庁のページでご確認ください。

変更契約書も対象。印紙代は譲渡費用になる

軽減措置は、最初に作る売買契約書だけでなく、売買金額を変更するときの変更契約書や補充契約書にも適用されます。価格交渉で金額を変えた場合も、作成した文書ごとに印紙税がかかることを覚えておきましょう。

また、売主が負担した印紙税は、譲渡所得の計算で売却代金から差し引ける譲渡費用に含まれます。少額ですが、申告の際に計上し忘れないようにしてください。

POINT

印紙税で押さえること

  • 多くの住宅価格帯(1,000万円超5,000万円以下)は1万円
  • 軽減措置の期限は2027年3月31日作成分まで
  • 売主負担分は譲渡費用として申告で差し引ける

登記費用|抵当権抹消と住所変更

結論

売主が負担する登記費用は、主に抵当権抹消と住所変更です。登録免許税はどちらも不動産1個につき1,000円で、手続きを司法書士に頼む場合は別に報酬がかかります。

住宅ローンを借りて買った家には、金融機関の抵当権が登記されています。抵当権が付いたままでは買主は安心して代金を払えないため、引渡しの日にローンを完済し、同時に抵当権を抹消するのが通常の流れです。

用語の補足:抵当権

ローンを返せなくなったときに、金融機関がその不動産を競売にかけて回収できる権利です。ローンを完済しても自動では消えず、抹消の登記を申請する必要があります。

抵当権抹消の登録免許税は不動産1個1,000円

登録免許税法の別表第一では、登記の抹消の税額は不動産の個数1個につき1,000円と定められています(e-Gov法令検索:登録免許税法)。同じ申請書で20個を超える不動産の抹消を受ける場合は、1件につき2万円が上限です。

「1個」は土地1筆、建物1棟と数えます。一戸建てなら土地1筆+建物1棟で2,000円が基本ですが、土地が複数の筆に分かれていればその分増えます。個数は登記事項証明書で確認しておくと確実です。

住所が違えば住所変更登記も。2026年4月から義務化

登記簿上の住所が今の住所と違う場合、売却の前提として住所変更登記が必要になります。登録免許税は同じく不動産1個につき1,000円です。

さらに、2026年4月1日からは住所等変更登記の申請が義務化され、住所や氏名が変わった日から2年以内に変更登記をすることが求められています(法務局:住所変更登記の申請手続のご案内)。引越しを重ねている方は、売却を考えた時点で登記簿の住所を確認しておきましょう。

注意

相続した不動産で名義が亡くなった方のままの場合は、売る前に相続登記が必要です。相続登記の義務化や手続きの流れは相続登記の義務化についての記事で解説しています。

司法書士報酬とローンの一括返済

抵当権抹消は自分で法務局に申請することもできますが、決済日に代金の受け渡しと同時に行うため、司法書士に依頼することが多い手続きです。報酬は事務所ごとに異なるので、仲介会社経由で見積もりを取ってください。

ローンを一括返済する際、金融機関によっては繰上返済の手数料がかかります。インターネット経由なら無料とする金融機関もあり、手続き方法によって金額が変わります。返済日までの利息の精算もあるため、完済に必要な正確な金額は金融機関に事前に確認しておきましょう。

この項目のまとめ
  • 抵当権抹消・住所変更の登録免許税は不動産1個1,000円
  • 住所変更登記は2026年4月から義務化。売却前に登記簿の住所を確認する
  • 司法書士報酬と繰上返済手数料は見積もりで確認する
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費用を引いたら、いくら手元に残る?まずは売却価格を知ることから

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譲渡所得税|利益が出たときだけかかる税金

結論

譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を引いて利益が出たときだけかかります。税率は所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%です。

不動産を売った利益は、給与などとは別に計算する分離課税です。売却費用の中で唯一、売った時点ではなく翌年の確定申告で金額が確定するため、資金計画から抜け落ちやすい費用です。

計算式と、差し引ける取得費・譲渡費用

課税される譲渡所得は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額」で計算します。取得費は買ったときの購入代金や購入手数料などで、建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額になります。

譲渡費用は、売るために直接かかった費用です。国税庁は、仲介手数料、売主が負担した印紙税、測量費、貸家の立退料、土地を売るための建物の取壊し費用などを例に挙げています(国税庁 No.3255)。

反対に、売却価格に足すものもあります。決済のときに買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金(引渡し日から年末までの分)は、税金の払い戻しではなく譲渡価額(収入金額)に含めて計算します(国税庁 No.3214)。手残りでは受け取るお金として足し、確定申告でも売却代金に加えるのを忘れないようにしましょう。

注意

購入時の契約書などが見つからず取得費が分からない場合は、売却価格の5%を取得費とする「概算取得費」を使います。実際より大幅に少ない取得費になりやすく、税額が増える原因になります。書類の探し方は取得費がわからない場合の記事で解説しています。

税率は所有期間で約2倍違う

所有期間は、売った年の1月1日時点で判定します。5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。

区分 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
長期(5年超) 15% 0.315% 5% 20.315%
短期(5年以下) 30% 0.63% 9% 39.63%

※復興特別所得税は所得税額の2.1%で計算します。5年の数え方の詳細は短期譲渡所得の記事をご覧ください。

具体例

取得費不明の土地建物を2,000万円で売った場合の税額

  • 前提:売却価格2,000万円、取得費は不明(概算取得費=5%の100万円)、特例なし
  • 譲渡費用:仲介手数料72万6,000円+印紙税1万円+測量費(仮に50万円)=123万6,000円
  • 課税譲渡所得:2,000万円−100万円−123万6,000円=1,776万4,000円
  • → 所有5年超なら税額約361万円、5年以下なら約704万円

同じ売却でも所有期間で約343万円の差が出ます。測量費は見積もりで変わる仮の数字なので、自分の見積額に置き換えて計算してください。

マイホームなら3,000万円控除で税金がゼロになることも

自分が住んでいる家(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合を含む)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(国税庁 No.3302)。親子や夫婦など特別な関係の人への売却は対象外です。

売った年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていれば、3,000万円控除後の6,000万円以下の部分に軽減税率(所得税10%・住民税4%)を重ねて使えます。相続した空き家にも別の3,000万円控除があり、要件は相続空き家の3,000万円特別控除の記事で解説しています。

POINT

特例は申告しないと使えない

  • 3,000万円控除で税金がゼロになる場合も、確定申告が必要
  • 申告期間は売った年の翌年2月16日〜3月15日
  • 申告書には「譲渡所得の内訳書」を添付する

測量費・解体費など状況によってかかる費用

結論

測量費と解体費は、法令で決まった額がなく見積もりで決まるため、事前に読みにくい費用です。どちらも売るために支出したものなら譲渡費用として差し引けます。

マンションではほとんど発生しませんが、一戸建てや土地では金額が大きくなりやすい費用です。売却代金が入る前に支払うことが多い点にも注意が必要です。

土地や戸建てで必要になりやすい測量費

隣地との境界がはっきりしていない土地は、買主から境界の明示を求められることが多く、売主の負担で測量を行うことがあります。金額は土地の広さ、形、接している隣地の数、立会いの調整の手間などで大きく変わります。

測量費は国税庁の資料でも譲渡費用の例として挙げられています。売却のために行った測量の領収書は必ず保管しておきましょう。

解体費は「売るための取壊し」なら譲渡費用

古い家を取り壊して更地で売る場合、土地を売るために建物を取り壊した費用と、取り壊した建物の損失額は譲渡費用になります。ただし、解体費は売却代金が入る前に支払うことが多く、先に手元資金が必要になります。

解体するかどうかは、解体費と更地にした場合の売却価格の差で判断します。費用の目安や、解体せずに売る方法は空き家の解体費用が払えない場合の記事で詳しく解説しています。

引越し・クリーニング・修繕は経費にならない

引越し代、ハウスクリーニング、売り出し前の補修などは、売却の過程でよくかかる費用です。ただし、修繕費や固定資産税など、資産の維持・管理のための費用は譲渡費用になりません。手残りの計算には入れ、税金の計算からは外して考えます。

  • 境界標がそろっているか、確定測量図があるかを確認した
  • 解体する場合と現況のまま売る場合の、両方の価格を聞いた
  • 測量費・解体費の見積書と領収書を保管している
  • 引越し・クリーニング費用を手残りの計算に入れた

手残りの計算|売却価格から引く4ステップ

結論

手残りは「売却価格 − ローン残債 − 売却費用 − 税金」で出します。見落としやすいのはローン残債と翌年の税金です。

手残りの計算は、住み替え先の頭金やローン完済の可否を決める大事な数字です。費用を一つひとつ積み上げれば、査定の段階でもかなりの精度で見積もれます。

手残りを出す4つのステップ

次の順番で計算すると、抜け漏れを防げます。税金は最後に計算するのがコツです。譲渡費用が決まらないと税額も決まらないためです。

  1. 売却価格の見込みを決める複数社の査定額を比べ、現実的に売れる価格を置きます。仲介手数料と印紙税はこの価格から計算できます。
  2. ローン残債と完済費用を確認する返済予定表と金融機関への確認で、引渡し日時点の残高と繰上返済手数料を把握します。
  3. 売却費用を積み上げる仲介手数料・印紙税・登記費用・司法書士報酬に、必要なら測量費・解体費・引越し費用を加えます。
  4. 譲渡所得税を計算して差し引く取得費と譲渡費用を引いて利益が出る場合だけ、税率をかけた額を翌年の支払いとして差し引きます。
  1. 売却価格査定額をもとに設定
  2. −ローン残債完済費用を含む
  3. −売却費用手数料・印紙・登記など
  4. −税金翌年に支払う
  5. =手残り次の住まいや生活資金
図:売却価格から手残りを出す計算の流れ

ローン残債がある自宅を売る場合の計算例

住んでいる家を売り、3,000万円控除で譲渡所得税がかからないケースで計算してみます。司法書士報酬などの見積もりで決まる費用は、仮の数字を置いています。

具体例

自宅を4,000万円で売り、ローン残債が2,000万円の場合

  • 仲介手数料:4,000万円×3%+6万円=126万円 → 税込138万6,000円
  • 印紙税:1万円(1,000万円超5,000万円以下の軽減税率)
  • 抵当権抹消の登録免許税:土地1筆+建物1棟で2,000円
  • 見積もりで決まる費用(仮の数字):司法書士報酬2万円、繰上返済手数料3万円、引越し費用20万円
  • 売却費用の合計:164万8,000円
  • → 手残り:4,000万円−2,000万円−164万8,000円=1,835万2,000円

3,000万円控除で税金がゼロになる前提ですが、翌年の確定申告は必要です。控除の要件を満たさない場合は、ここから譲渡所得税を差し引いてください。

結論

売却費用は、価格が決まれば計算できるもの(仲介手数料・印紙税・登録免許税)と、見積もりが必要なもの(測量・解体・司法書士報酬)に分かれます。まず売却価格の見込みを知ることが、手残りを正確に読む第一歩です。

ローン残債が売却価格を上回り、手残りがマイナスになる場合の進め方はオーバーローン売却の記事も参考にしてください。

売却費用を抑える方法と、買取という選択肢

結論

費用そのものを減らす余地は、仲介手数料の協議と、不要な測量・解体を避けることにあります。税金は譲渡費用を漏れなく計上することで正しく抑えられます。

仲介手数料は上限が決まっているだけで、上限で払わなければならないものではありません。ただし、手数料の安さだけで仲介会社を選ぶと、販売活動の量や売却価格に影響することもあります。費用は売却価格とセットで比較するのが基本です。

領収書を残して譲渡費用を漏れなく計上する

譲渡所得税は、譲渡費用が増えるほど少なくなります。仲介手数料、印紙税、測量費、取壊し費用は領収書や契約書の控えがあれば申告で差し引けるので、売却に関する書類は1つのファイルにまとめて保管しておきましょう。

購入時の売買契約書も重要です。取得費が分からないと概算取得費(売却価格の5%)になり、実際の購入価格より取得費が少なくなるほど税金が増えます。

測量・解体の前に、現況のままの価格を聞く

測量や解体は、やれば必ず得をするとは限りません。買い手によっては、境界の確認や建物の解体を自分で行う前提で、現況のまま購入を検討するケースもあります。

先にまとまった費用を支出してから思ったほど高く売れなかった、という事態を避けるため、費用をかける前に「現況のまま」と「整えた場合」の両方の価格を聞いて比べるのが確実です。

仲介と買取の費用面の違い

不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」は、仲介会社が間に入らない取引なので、仲介手数料がかかりません。また、現況のままの引渡しを前提とすることが多く、測量や解体、クリーニングを売主側で行わずに済む場合があります。

一方で、買取価格は買取業者がリフォームや再販にかかる費用を見込んで提示するため、仲介で一般の買主に売る場合の価格と同じにはなりません。費用が減る分と価格の差を、手残りで比べて判断してください。

買取のメリット(費用面)

  • 仲介手数料がかからない
  • 測量・解体・クリーニングを省ける場合がある
  • 引渡し時期を決めやすく、資金計画が立てやすい

買取のデメリット

  • 価格は仲介で売る場合と同じにはならない
  • 業者によって提示額の差が大きく、比較が必要
  • 印紙税・登記費用・譲渡所得税は仲介と同様にかかる
この項目のまとめ
  • 仲介手数料は上限の範囲内で協議できるが、売却価格とセットで比べる
  • 測量・解体は費用をかける前に、現況のままの価格を確認する
  • 買取は仲介手数料がかからない分と価格差を、手残りで比較する

よくある質問

仲介手数料は売買契約が解除になっても払う必要がありますか?

仲介手数料の請求権は、売買契約が成立した時点で発生するのが原則です。解除の理由や媒介契約書の定めによって扱いが変わるため、媒介契約を結ぶ段階で、解除時の報酬の扱いと支払時期を必ず確認しておいてください。

売却費用は確定申告で経費にできますか?

仲介手数料、売主が負担した印紙税、測量費、土地を売るための建物の取壊し費用などは「譲渡費用」として売却代金から差し引けます。

一方、修繕費や固定資産税など、所有中の維持管理にかかった費用は譲渡費用になりません。

利益が出なかった場合も確定申告は必要ですか?

売却で利益が出なければ譲渡所得税はかかりません。ただし、マイホームの3,000万円特別控除を使って税金をゼロにする場合は、確定申告をしないと特例を受けられません。申告期間は売った年の翌年2月16日から3月15日までです。

住宅ローンが残っていても家は売れますか?

売却代金でローンを完済し、引渡しと同時に抵当権を抹消できれば売却できます。売却代金と手元資金を合わせても完済できない場合は、金融機関との調整が必要です。まず査定額とローン残高を並べて、差額を確認してください。

この記事のまとめ

  • 売却費用の中心は仲介手数料・印紙税・登記費用・譲渡所得税。測量・解体は状況しだい
  • 仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円」+消費税。800万円以下は税込33万円までの特例あり
  • 印紙税は2027年3月31日作成分まで軽減税率。1,000万円超5,000万円以下は1万円
  • 抵当権抹消・住所変更の登録免許税は不動産1個1,000円。住所変更登記は2026年4月から義務化
  • 譲渡所得税は利益が出たときだけ。税率は5年超20.315%、5年以下39.63%で、申告は翌年3月15日まで
  • 手残りは「売却価格−ローン残債−売却費用−税金」。費用は売却価格とセットで比べる

売却費用の多くは売却価格から逆算できます。まずは現在の価格を知り、手元にいくら残るかを確かめるところから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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