不動産担当者の見極め方|査定根拠・報告義務・囲い込みの兆候と担当変更

不動産担当者の見極めポイント(査定根拠・報告義務・レインズ登録証明書)を解説する記事のイメージ

査定を頼んだ不動産会社から担当者が来たものの、「この人に任せて大丈夫だろうか」と迷っている方は少なくありません。感じのよさや話のうまさだけで決めてしまい、売り出してから連絡が来ない、値下げばかり勧められる、といった不満を抱えるケースもあります。

結論から言うと、担当者の良し悪しは「法律で決まっている義務を、言われる前に果たしているか」でかなり見分けられます。査定額の根拠を示す、レインズの登録証明書を渡す、決められた頻度で報告する——どれも宅地建物取引業法で業者に課された義務なので、できていなければ遠慮なく指摘して構いません。

この記事では、査定から契約、販売中までの各段階で何を確かめればよいかと、合わないと感じたときの担当変更・会社変更の手順を、法令と国土交通省の公表資料をもとにまとめます。

この記事を読むとわかること

  • 査定額の根拠の説明で、担当者の力量を見分ける方法
  • 宅建士証・重要事項説明など、資格に関わる確認ポイント
  • 媒介契約ごとの報告義務の頻度と、レインズ登録証明書の受け取り方
  • 囲い込みの兆候と、2025年1月から使いやすくなったステータス確認の方法
  • 担当者や不動産会社を変えたいときの具体的な手順と注意点

この記事の結論

  1. 業者は売り出し価格について意見を述べるとき、その根拠を明らかにする義務があります。根拠を示さず高い査定額だけを出す担当者は要注意です。
  2. 買主への重要事項説明と契約書面への記名は宅地建物取引士の仕事です。宅建士証は取引の関係者が求めれば提示しなければなりません。
  3. 業務の報告は専任媒介で2週間に1回以上、専属専任媒介で1週間に1回以上が法律上の義務です。購入の申込みが入ったときはどの媒介契約でも遅滞なく報告されます。
  4. 専任媒介ではレインズ登録後の登録証明書を遅滞なく受け取れます。2025年1月からは証明書の二次元コードで取引状況を確認でき、囲い込みの発見に役立ちます。
  5. 専任媒介の有効期間は最長3か月で、更新には依頼者の申出が必要です。担当変更の申出→期間満了で更新しないの順に進めれば、違約金の心配なく切り替えられます。

不動産担当者の見極めが売却結果を左右する理由

結論

仲介での売却は、価格の決め方・販売活動・買主との交渉の多くを担当者が実際に動かします。同じ会社でも担当者によって進み方が変わるため、会社選びとは別に担当者を確かめる必要があります。

不動産会社に売却を頼むと、多くの場合は媒介契約を結び、1人の担当者が窓口になります。売主が会社の中の動きを直接見る機会はほとんどなく、情報はほぼすべて担当者を通じて届きます。

つまり担当者の説明が雑だと、売主は判断材料が足りないまま値下げや契約条件を決めることになります。見極めは「相性」ではなく、判断材料をきちんと渡してくれる人かどうかで行うのが基本です。

用語の補足:媒介契約

不動産会社に買主探しを依頼するときに結ぶ契約です。他社にも同時に頼める「一般媒介」、1社だけに任せる「専任媒介」、さらに自分で見つけた買主とも直接契約できない「専属専任媒介」の3種類があります。

担当者によって変わる3つのこと

担当者の力量が結果に出やすいのは、次の3つの場面です。どれも売却価格と売れるまでの期間に直結します。

  • 売り出し価格の提案:周辺の成約事例をどう読み、どの価格帯から始めるか
  • 販売活動:レインズへの登録、広告、内覧対応をどれだけ丁寧に進めるか
  • 交渉と報告:申込みや値下げ要望を、売主に正確かつ早く伝えるか

会社選びと担当者選びの関係

会社の規模や得意エリア、買取に対応しているかといった点は会社選びで比べます。ただ、同じ会社の中でも経験や丁寧さには差があり、会社の評判がよくても担当者が合わないことは起こり得ます。

そのため、会社は複数社の査定を比べて候補を絞り、最後は「実際に窓口になる担当者」で決めるのが現実的です。一括査定を使えば、同じ物件について複数の担当者の説明を並べて比べられます。

担当者本人の経験は、面談で直接聞いて確かめます。口コミやランキングは対応の雰囲気を知る手がかりにはなりますが、感じ方や相性は人によって違うため、口コミだけで担当者を決めないほうが安全です。

  • このエリアで、同じ種類(戸建て・マンション・土地)の売却を担当したことがあるか
  • 近くで最近成約した事例を、価格と売れるまでの期間つきで説明できるか
  • 買主側の仲介も経験しており、買主がどこを気にするかを具体的に話せるか

見極めるタイミングは3回ある

担当者を確かめる機会は、査定のとき・媒介契約を結ぶとき・販売を始めてからの3回です。段階ごとに見るべき点が違うので、表にまとめます。

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段階 確認すること よい担当者 注意したい担当者
査定時 査定額の根拠 成約事例や物件の個別事情を示して説明する 金額だけを示し、根拠を聞くとはぐらかす
媒介契約時 契約の種類・期間・報告方法 3種類の違いと報告の頻度・方法を書面で説明する 専任媒介を急がせ、期間や解除の説明を省く
販売開始後 レインズ登録・報告・問い合わせ状況 登録証明書をすぐ渡し、決めた頻度で報告する 報告が途切れ、反響の中身を聞いても答えない

※「よい」「注意したい」は判断の目安です。個々の行為が法令違反に当たるかどうかは、以下の各章で説明します。

査定額の根拠を説明できるかで見極める

結論

宅建業法は、業者が売り出し価格について意見を述べるときに根拠を明らかにすることを求めています。根拠の説明が具体的かどうかは、最初に確認できる最も分かりやすい物差しです。

査定の場面は、担当者の知識と誠実さが一番はっきり表れるところです。金額の高さではなく、その金額に至った理由を聞いてください。

価格の意見には根拠を示す義務がある

宅地建物取引業法第34条の2第2項は、媒介契約書に記載する売買すべき価額について業者が意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています(e-Gov法令検索 宅地建物取引業法)。

つまり「この価格で売り出しましょう」と言う以上、なぜその価格なのかを説明するのは担当者の義務です。根拠を尋ねて嫌な顔をする担当者は、それだけで判断材料になります。

よい説明と危うい説明の違い

よい説明は、比べた事例と、自分の物件との違いをどう価格に反映したかがセットになっています。次の点を質問して、答えが具体的に返ってくるかを確かめましょう。

  • 比較に使った近隣の成約事例は、いつ・どこで・いくらの取引か
  • 築年数、面積、接道、日当たりなどの違いを、価格にどう加減したか
  • その価格で売り出した場合、どれくらいの期間で売れる見込みか
  • 売れなかった場合、いつ・どの程度の見直しを想定しているか

反対に「今は相場が上がっているので」「当社なら高く売れます」といった、事例も数字も出てこない説明しか返ってこない場合は注意が必要です。

高すぎる査定額に飛びつかない

査定額はあくまで「売れると見込む価格」で、その会社が買い取る価格ではありません。媒介契約を取るために高めの数字を出し、売り出し後に値下げを重ねていくやり方もあり得るため、一番高い査定額=一番よい担当者ではないと考えてください。

POINT

査定額は「差の理由」を聞いて比べる

  • 複数社の査定額に差があれば、高い会社と低い会社の両方に理由を聞く
  • 理由の説明に事例と数字が入っている担当者のほうが、販売中の値付けも信頼しやすい
この項目のまとめ
  • 価格の意見に根拠を示すのは宅建業法上の義務
  • 事例・物件の違い・売れる期間の見込みを具体的に話せるかで判断する

宅建士証と重要事項説明で見極める

結論

買主への重要事項説明と契約書面への記名は、宅地建物取引士にしかできません。誰が宅建士として説明・記名するのかを早めに確認しておくと、契約直前の混乱を防げます。

担当者が資格を持っているかどうかは、名刺だけでは分からないこともあります。法律上、どの場面で宅建士が必要なのかを知っておくと、確認すべきことが整理できます。

用語の補足:宅地建物取引士(宅建士)

宅地建物取引士資格試験に合格し、実務経験などの要件を満たして都道府県知事の登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けた人です。宅地建物取引士証の有効期間は5年と定められています。

重要事項説明と契約書面の記名は宅建士の仕事

宅建業法第35条は、業者が契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士に重要事項を書面で説明させることを義務づけています。この説明は、物件を取得する側、つまり売却では買主に対して行われます。

また第37条第3項により、契約成立後に交付する書面(いわゆる37条書面)にも宅建士の記名が必要です。売主側の担当者が宅建士でない場合、これらは社内の別の宅建士が担当することになります。

宅建士証と従業者証明書は見せてもらえる

宅建士は、重要事項を説明するときは相手方に宅地建物取引士証を提示しなければならず(第35条第4項)、取引の関係者から請求があったときも提示しなければなりません(第22条の4)。売主も取引の関係者なので、担当者に「宅建士証を見せてください」と頼んで問題ありません。

また宅建業者は従業者に従業者証明書を携帯させる義務があり、従業者は取引の関係者から請求があれば提示しなければなりません(第48条)。資格がない担当者でも、その会社の従業者であることはこの証明書で確認できます。

担当者が宅建士でない場合の考え方

宅建業法は、事務所ごとに一定数の専任の宅建士を置くよう求めており、その数は業務に従事する者の5分の1以上です(第31条の3、同法施行規則第15条の5の3)。言い換えれば、営業担当者の全員が宅建士である必要はありません。

担当者が無資格でも、それだけで違法とはいえません。大切なのは、重要事項説明や契約書面の記名を誰が担うのかを事前に教えてくれるか、そして物件の調査結果をその宅建士ときちんと共有しているかです。

注意

契約当日に初めて会う宅建士が重要事項説明をする場合、物件の不具合や境界の話が十分に伝わっていないことがあります。売主が担当者に伝えた事情が説明書面に反映されているか、事前に下書きを見せてもらうと安心です。

報告の頻度と中身で見極める

結論

専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上の業務報告が法律上の義務です。頻度を守るだけでなく、反響の中身まで書いてあるかが担当者の差になります。

売り出してからの担当者の働きぶりは、報告でしか見えません。報告が来ない、来ても「特に動きはありません」の一言だけ、という状態が続くなら見直しのサインです。

媒介契約の種類ごとの報告義務

宅建業法第34条の2は、媒介契約の種類によって報告義務やレインズへの登録義務を分けています。主な違いは次のとおりです。

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項目 一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
他社への重ねての依頼 できる できない できない
有効期間 法律上の上限なし 3か月以内 3か月以内
業務処理状況の報告 法律上の定期報告義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
購入の申込みがあったとき 遅滞なく報告 遅滞なく報告 遅滞なく報告
レインズへの登録 法律上の義務なし 契約から7日以内 契約から5日以内
登録証明書の引渡し 法律上の義務なし 遅滞なく 遅滞なく

※宅地建物取引業法第34条の2、同法施行規則第15条の10による。レインズ登録の日数は業者の休業日を含めずに数えます。

具体例

3か月の媒介契約で受け取る報告の最低回数

  • 専任媒介(2週間に1回以上)で3か月(約90日)契約した場合
  • → 90日 ÷ 14日 ≒ 6.4 なので少なくとも6回の報告
  • 専属専任媒介(1週間に1回以上)で同じ3か月契約した場合
  • → 90日 ÷ 7日 ≒ 12.9 なので少なくとも12回の報告

契約から1か月(約30日)たっても、専任媒介で報告が1回以下、専属専任媒介で3回以下しか来ていなければ、法律上の頻度を下回っている可能性があります。報告の日付を手元で記録しておくと、後で担当変更を申し出るときの根拠になります。

購入の申込みは契約の種類を問わず報告される

第34条の2第8項は、媒介契約を結んだ業者に対し、売買の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告することを求めています。この義務は一般媒介を含むすべての媒介契約に共通です。

国土交通省の標準媒介契約約款にも同じ内容が業者の義務として盛り込まれています。申込みがあったのに知らされないのは、担当者の「判断」で済む話ではありません。

報告書に書かれているべき内容

報告の頻度は法律で決まっていても、中身の書き方は担当者次第です。少なくとも次のような情報が入っているかを見てください。

  • 広告の掲載先と、閲覧数や問い合わせの件数
  • 内覧の件数と、内覧した人の感想や見送った理由
  • 他の業者からの紹介依頼の有無
  • 周辺で新たに売り出された物件や成約した物件の情報
  • 次の2週間(1週間)で何をするかの方針

なお、報告の頻度や登録期限を法律より売主に不利にする特約は無効とされています(第34条の2第10項)。「うちは月1回の報告で」と言われても、専任媒介なら2週間に1回以上を求めて構いません。

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レインズ登録証明書と囲い込みの兆候

結論

専任媒介ではレインズ登録後に登録証明書を遅滞なく受け取れます。2025年1月からは証明書の二次元コードで取引状況を確認できるので、囲い込みの兆候に自分で気づけます。

レインズは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する、宅建業者間で物件情報を共有するシステムです。東日本・中部圏・近畿圏・西日本の4つの機構があり、登録された物件は他の業者も買主に紹介できます。

登録証明書を言われる前に渡すか

専任媒介を結んだ業者は、施行規則第15条の10で定める期間内(専任媒介は7日、専属専任媒介は5日。休業日は数えない)にレインズへ登録し、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡す義務があります(宅建業法第34条の2第5項・第6項)。

よい担当者は、登録が済めば頼まなくても証明書を渡してくれます。期限を過ぎても証明書が届かないときは、登録が済んでいるかを確認しましょう。

2025年1月から取引状況を自分で確認できる

国土交通省は、売主が自分の物件の取引状況を確実かつ簡単に確認できるよう、2025年1月から宅建業者にレインズへの取引状況の登録を義務づけました(国土交通省 レインズの機能強化について)。あわせて、登録証明書に二次元コードが記載されるようになりました。

二次元コードを読み取ると「売主専用画面」にアクセスでき、確認用のIDとパスワードで自分の物件の状況を見られます。登録される状況は次の3種類です。

表示される状況 意味
公開中 他の業者からの紹介を受け付けている状態
書面による購入申込みあり 買主から書面で購入の申込みが入っている状態
売主都合で一時紹介停止中 売主の意向で紹介を止めている状態

囲い込みが起きる理由と兆候

国土交通省のリーフレットは、囲い込みを「一部の宅建業者が自社の利益のため、売主・買主双方の媒介を行うことを目的として、故意に物件の取引状況を隠し、売主の意向に反して物件の紹介を行わないような行為」と説明しています(国土交通省 売主向けリーフレット(PDF))。

背景には仲介手数料の仕組みがあります。報酬の上限は依頼者の一方ごとに決まっているため、自社で買主も見つければ売主と買主の両方から手数料を受け取れます。

具体例

3,000万円で売れた場合の仲介手数料の上限

  • 200万円以下の部分:200万円 × 5.5% = 11万円
  • 200万円超400万円以下の部分:200万円 × 4.4% = 8.8万円
  • 400万円超の部分:2,600万円 × 3.3% = 85.8万円
  • → 売主から受け取れる上限は105.6万円(税込)。買主も自社で見つければ、買主からも同額まで受け取れ、合計で211.2万円になる

この差が、他社からの紹介を断って自社で買主を探したくなる動機になり得ます。割合は報酬告示(消費税込み)の上限で、実際の手数料は上限の範囲内で契約により決まります。

次のような様子が見られたら、囲い込みを疑って売主専用画面を確認してください。

  • 売主専用画面で、覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっている
  • 売り出しから時間がたっても、他の業者経由の内覧が1件もない
  • 報告に「他社からの問い合わせ」の欄がない、または毎回ゼロになっている
  • 値下げの提案が早く、その直後に自社の買主候補が出てくる
  1. 登録証明書を受け取る専任媒介なら遅滞なく交付される
  2. 売主専用画面で確認二次元コードとID・パスワードで閲覧
  3. 覚えのない紹介停止囲い込みの典型的な兆候
  4. 依頼した業者に問い合わせ誤った登録の是正を求める
図:レインズの取引状況を確認し、囲い込みに気づくまでの流れ(国土交通省リーフレットをもとに作成)
この項目のまとめ
  • 専任媒介では登録証明書を遅滞なく受け取れる。届かなければ催促する
  • 二次元コードから売主専用画面を開き、身に覚えのない紹介停止がないか確かめる

即答できない質問への対応で見極める

結論

担当者がすべてに即答できる必要はありません。分からないことを調べて期限内に返すか、断定で押し切るかが、信頼できるかどうかの分かれ目です。

不動産の売却には、税金・登記・建築規制・相続など、宅建業の範囲を超える論点がたくさん出てきます。担当者の誠実さが一番よく見えるのは、知らないことを聞かれたときです。

「調べて折り返します」は悪いサインではない

たとえば「売ったら税金はいくらかかるのか」「検査済証がない家でも売れるのか」といった質問は、物件ごとの資料を見ないと正確に答えられません。その場で曖昧に答えるより、確認して回答日を約束する担当者のほうが信頼できます。

税金は所有期間で税率が大きく変わり、短期譲渡所得は税率39.63%になるなど、思い込みで答えると売主の手取りが大きく狂います。検査済証がない家も、買主のローン審査に影響するため事前の確認が欠かせません。

  • 回答の期限を自分から示し、その日までに連絡が来るか
  • 回答の根拠(法令、役所の資料、登記簿など)を添えてくれるか
  • 前回の質問への回答を、こちらが催促する前に伝えてくれるか

断定や急かしは法律で禁じられている

宅建業法第47条は、契約の勧誘に際して判断に重要な影響を及ぼす事項を故意に告げなかったり、事実でないことを告げたりすることを禁じています。第47条の2は、利益を生ずることが確実だと誤解させる断定的判断の提供も禁止しています。

さらに施行規則第16条の11は、正当な理由なく契約を結ぶかどうか判断する時間を与えないこと、契約しない意思を示したのに勧誘を続けることなども禁じています。「今日決めてもらわないと」と急かす担当者は、それだけで要注意です。

専門家につなぐ判断ができるか

税額の計算は税理士、登記は司法書士、境界の確定は土地家屋調査士の領域です。よい担当者は自分の守備範囲を把握していて、必要な場面で専門家への相談を勧めます。

相続した家や共有名義の家は、売る前に持分や同意の整理が必要になることも多く、共有名義の不動産の売却のように専門家との連携が前提になるケースもあります。「全部うちでやります」と言い切るより、誰に何を頼むかを説明できる担当者を選びましょう。

信頼できる対応

  • 分からないことは「確認して○日までに回答します」と言う
  • 回答に資料や根拠を添える
  • 税金や登記は専門家への相談を勧める

注意したい対応

  • 何を聞いても「大丈夫です」と即答する
  • 「必ず高く売れる」と断定する
  • 考える時間を与えず、その場での契約を迫る

担当変更・会社変更の方法

結論

合わないと感じたら、まず会社に担当変更を申し出ます。それでも改善しなければ、専任媒介の期間満了を待って更新しないのが、費用の心配がない最も確実な方法です。

担当者を変える・会社を変えるのは、売主の当然の権利です。ただし媒介契約の途中で一方的に他社へ乗り換えると、違約金を請求される場合があるため、順番を守ることが大切です。

まずは会社に担当変更を申し出る

担当者本人に言いにくければ、店舗の責任者や本社の窓口に連絡して構いません。宅建業者には取引の関係者に対し、信義を旨とし誠実に業務を行う義務があり(第31条)、担当者の対応を改めてもらうのはその範囲の話です。

申し出るときは、「報告が○月○日以降来ていない」「根拠を聞いたが説明がなかった」など、記録に基づいて具体的に伝えると対応してもらいやすくなります。

  1. 不満の内容を記録する報告の日付、質問と回答、約束が守られなかった点を時系列でメモします。
  2. 会社に担当変更を申し出る店舗の責任者などに、記録をもとに具体的な理由を伝えます。
  3. 改善を一定期間見る新しい担当者の報告の頻度と中身を、前の担当者と比べます。
  4. 期間満了時に更新するか決める改善がなければ更新せず、別の会社と新たに媒介契約を結びます。

期間満了で更新しないのが最も確実

専任媒介・専属専任媒介の有効期間は3か月を超えることができず、それより長く定めても3か月になります(第34条の2第3項)。更新は依頼者の申出がある場合に限られ、更新後も3か月が上限です(同条第4項)。

つまり、売主が更新を申し出なければ契約はそこで終わります。終了後は別の会社と新たに媒介契約を結べるので、違約金の問題も生じません。

  1. 専任媒介契約を締結7日以内(休業日除く)にレインズ登録、2週間に1回以上の報告
  2. 1〜2か月目報告の頻度と中身を記録し、必要なら担当変更を申し出る
  3. 3か月で期間満了売主が更新を申し出なければ契約は終了する
  4. 別の会社と契約新たな媒介契約で売却活動を再開する
図:専任媒介契約の期間と、会社を切り替えるタイミング

期間中に解除するときの注意と相談先

国土交通省の標準媒介契約約款では、業者が誠実に業務を行う義務に違反したときや、重要な事項について故意・重過失で事実を告げなかったり不実のことを告げたりしたとき、依頼者は契約を解除できるとされています。業者が契約上の義務を果たさないときも、相当の期間を定めて催告し、それでも履行されなければ解除できます。

一方で、専任媒介の期間中に他の業者に依頼して契約を成立させると、約定報酬額に相当する違約金を請求される場合があります。業者に落ち度がないのに解除したときは、媒介のためにかかった費用を約定報酬額の範囲で請求されることがある点にも注意してください。

注意

実際の媒介契約が標準媒介契約約款に基づくものかどうかは、契約書に記載されています。解除や違約金の条件は、手元の契約書と約款で必ず確認してください。

業者の対応そのものに問題があると感じたら、その業者に免許を与えた国土交通大臣または都道府県知事の担当窓口に相談できます。業者の免許や専任の宅建士の人数は国土交通省の宅建業者等企業情報検索システムで、過去の行政処分は国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで調べられます。

仲介でのやり取りそのものに疲れてしまった場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。業者が自ら買主になる取引は媒介ではないため、仲介手数料はかからず、販売活動の報告を待つ必要もありません。再建築不可物件のように仲介で買主が見つかりにくい物件では、買取も含めて比べる価値があります。

結論

担当者は「人柄」ではなく根拠・報告・登録証明書という法律上の義務を自分から果たすかで見極めます。合わなければ担当変更を申し出て、専任媒介なら3か月の期間満了で更新しない——この順番なら費用をかけずに切り替えられます。

よくある質問

担当者が宅建士でないと問題がありますか?

担当者が宅建士でなくても、それだけで違法ではありません。宅建士の設置義務は事務所ごとに業務従事者の5分の1以上です。ただし買主への重要事項説明と契約書面への記名は宅建士しかできないため、誰が担当するのかを事前に確認しておきましょう。

専任媒介なのに報告が来ません。どうすればよいですか?

専任媒介では2週間に1回以上、専属専任媒介では1週間に1回以上の報告が法律上の義務です。まず会社に報告を求め、改善しなければ担当変更を申し出ます。

それでも続く場合は、期間満了で更新しないか、契約書と約款の解除条件を確認してください。

一般媒介でもレインズの登録証明書はもらえますか?

法律上、レインズへの登録義務と登録証明書の引渡し義務があるのは専任媒介と専属専任媒介です。一般媒介では義務がないため、登録してほしい場合は、登録するかどうかと登録後に知らせてもらえるかを契約時に確認してください。

専任媒介の途中で別の会社に変えると違約金がかかりますか?

標準媒介契約約款では、専任媒介の期間中に他の業者の媒介で契約を成立させると、約定報酬額に相当する違約金を請求される場合があります。有効期間は最長3か月で更新には売主の申出が必要なので、期間満了を待って更新しなければ違約金なく会社を変えられます。

この記事のまとめ

  • 担当者で売り出し価格・販売活動・報告の質が変わる。会社選びとは別に確かめる
  • 価格の意見に根拠を示すのは法律上の義務。事例と数字で説明できるかを見る
  • 重要事項説明と契約書面の記名は宅建士の仕事。宅建士証は請求すれば提示される
  • 報告は専任媒介で2週間に1回以上、専属専任媒介で1週間に1回以上
  • 登録証明書の二次元コードから取引状況を確認し、囲い込みの兆候に気づく
  • 合わなければ担当変更を申し出て、専任媒介は期間満了で更新しない

担当者を見極めるには、複数の会社の説明を並べて比べるのが近道です。まずはご自身の不動産の現在の価格を知ることから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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